昨年7月に死去した彫刻家流政之さん=享年(95)=が制作拠点にした香川県高松市庵治町の建物が個人美術館「ナガレスタジオ 流政之美術館」として整備され、30日、関係者らに公開された。建物の内部にある展示スペースでは、流さんの初期作から晩年に手掛けた彫刻までを展示。外のエントランスなどにも大型の石彫作品などがあり、60年間にも及んだ庵治での制作活動を一望できる展示内容となっている。一般公開は9月中を予定。


9月中をめどに一般公開される「ナガレスタジオ 流政之美術館」=香川県高松市庵治町

9月中をめどに一般公開される「ナガレスタジオ 流政之美術館」=香川県高松市庵治町

 同美術館の保存・公開を目的に設立された流財団(高松市、香美佐知子代表理事)が公開準備を進めており、今年3月に博物館(美術館を含む)登録を終えていた。県内では12館目の登録博物館となる。

 美術館のお披露目となるオープニングレセプションには流さんの友人知人や同財団の賛助会員、美術関係者ら延べ160人が出席。駐車場が少ないことや館内の動線が整っていないことから、レセプションは参加人数を制限するため29、30の両日に分けて行った。

 2日目のレセプションでは、流さんの長女で美術家の麻二果さん(44)=高松市出身、東京都在住=が「父も開館を見守っていると思う。美術館をきっかけにして香川の豊かな文化や瀬戸内海の美しさを国内外の人に知ってほしい」とあいさつ。その後、出席者は思い思いに館内や屋外の展示を見て回った。

 建物は3階建てで庵治半島の東側に立ち、制作スペースやれんが造りの居住棟などがある。敷地面積は約1万9500平方メートル、建物面積は約350平方メートル。流さんが設計に携わったことから流作品の一つとも称される。同館には約400点の彫刻作品が保存され、実際に触って鑑賞できるのが特徴。流さんが生前収集していた民具などのコレクションもあり、整理が終わり次第展示するという。

 一般公開は9月中を予定。開館は木、金、土曜日。入場は1日2回の予約制で、8月からサイトを通じて受け付ける。観覧料は大人5千円ほか。問い合わせは同財団〈087(871)3011〉。

(四国新聞・2019/07/01掲載)

ナガレスタジオ「流政之美術館」


所在地 香川県高松市庵治町3183-1
TEL 087-871-3011


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