香川県内唯一の国の特別史跡である讃岐国分寺跡(高松市国分寺町)。奈良時代、聖武天皇の命によって建てられた全国の国分寺のうち、特別史跡に指定されているのは、遠江(静岡県)と常陸(茨城県)の3カ所のみ。広大な史跡の中は芝生が広がり、お散歩にもぴったり。天平の息吹を感じに出掛けてみてはいかが。


史跡公園内の芝生は広々としている。右側が伽藍の復元模型で、左側が僧房跡の覆屋

史跡公園内の芝生は広々としている。右側が伽藍の復元模型で、左側が僧房跡の覆屋

 讃岐国分寺跡は、四国霊場80番札所国分寺の境内を含む東西330メートル、南北227メートル。讃岐国分寺跡資料館の中條敏雄館長が「史跡の範囲がはっきりしていることに加え、現在の札所が史跡の中に含まれるのはとても貴重なんです」と教えてくれた。


僧房跡の覆屋はとても広い。手前には礎石も見える

僧房跡の覆屋はとても広い。手前には礎石も見える

 札所の国分寺の中には、讃岐国分寺の礎石が数多く残されているのをご存じだろうか。現在の本堂に向かう途中にある大きな石は、全て礎石。私たちは旧金堂のご本尊がいたあたりを突っ切って歩いたり、礎石の上に座ってくつろいだりしているのだ。


讃岐国分寺跡資料館には、金堂の模型もある=いずれも香川県高松市国分寺町

讃岐国分寺跡資料館には、金堂の模型もある=いずれも香川県高松市国分寺町

 国分寺境内を出た史跡公園内は芝生が広がる。伽藍(がらん)配置の復元模型は、10分の1のスケール。塔は七重塔で、高さは63メートルもあったと推測されている。周囲に高い建物がなかった当時、近隣の人たちはさぞ驚いたことだろう。近くには讃岐国府もあり、当時の讃岐の中心地は、ここ国分寺だった。現代の模型の向こうには青々とした蓮光寺山が広がり、爽快だ。

 札所の国分寺より北側には、僧侶たちが生活していた僧房跡があり、覆屋を作って僧侶の生活をイメージできるようにしてある。一つ一つの部屋は意外に広い。

 史跡地の周囲には、アジサイやキキョウ、ヤブカンゾウなど万葉の植物が植えられている。また、史跡地の東側にある讃岐国分寺跡資料館では、史跡から発掘された瓦などの資料が展示されている。歴史も学び、万葉の人々に思いをはせてみよう。

 資料館の入館料は一般100円ほか。月曜日と年末年始は休館。問い合わせは同資料館〈087(874)8840〉。

(四国新聞・2019/07/02掲載)

讃岐国分寺跡資料館


所在地 香川県高松市国分寺町国分2177-1
営業時間 9:00~16:30
休館日 月曜日(月曜日が休日の場合、その翌平日)、年末年始(12/29~1/3)
TEL 087-874-8840


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