四国遍路をテーマにした映画「ぐるり1200キロ、はじまりの旅」の撮影が県内で順調に進んでいる。今年のさぬき映画祭の第3回シナリオコンクールで大賞を受賞した高松市の公務員河野輝夫さんの「結願(けちがん)~まひるの遍路旅」が原作。8日は善通寺市の総本山善通寺や市内のうどん店などで主人公が遍路に挑戦する姿を撮影した。撮影は19日まで県内や東京で行い、来年2月の公開を予定している。


撮影に臨む香西さん(左端)と主演の昆さん(中央)ら=善通寺市、総本山善通寺


 「ぐるり―」は、出版社に勤務する主人公の伊藤まひるが、15年前に亡くなった母の思いを知るために讃岐の札所だけを巡拝する「一国参り」に挑戦するというストーリー。

 さぬき映画祭とかがわ文化芸術祭の連携事業として製作。第3回シナリオコンクールの審査員長で映画監督の中島貞夫さんらが、応募のあった3人の中から高松市の会社員香西志帆さんを監督に選んだ。

 主人公を演じるのは「レ・ミゼラブル」などのミュージカルに出演し、映画初主演となる女優の昆夏美さん。この他、映画やドラマで活躍する山中聡さん、若手俳優の長村航希さん、高松市在住の子役大里菜桜さんらも出演する。

 撮影は6日から行われ、8日は早朝から総本山善通寺で実施。実際に総本山善通寺の宿坊に泊まった巡礼者が僧侶と一緒に読経する様子や、昆さん演じるまひると山中さん演じる世界的な作家が会話する場面を1シーンずつ丁寧に撮影した。

 劇中では主人公が讃岐の一国参りをするほか、八十八カ所を逆に回る「逆打ち」に挑戦する少女も登場し、さまざまな遍路の巡り方があることもアピールする。香西さんは「主人公らの遍路旅を通じ、親子の絆を描けたら」と話している。

(四国新聞・2019/10/09掲載)


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