旧陸軍将校たちの社交場として建てられた旧善通寺偕行社(善通寺市文京町)は、白い壁にグレーがかった緑が印象的で、情緒ある善通寺の町並みに溶け込む。国の重要文化財でありながら、結婚式の披露宴やコンサート、研修など幅広い用途に利用され、今でも華やかな迎賓館としてたくさんの人々を出迎えている。


白とグリーンの組み合わせがどこかかわいらしい=善通寺市文京町、旧善通寺偕行社

白とグリーンの組み合わせがどこかかわいらしい=善通寺市文京町、旧善通寺偕行社


 偕行社は1877(明治10)年に創立された陸軍将校の親睦や学術研究を目的とした団体。善通寺偕行社は、第11師団の将校によって1903(明治36)年に建設された。戦後は米軍が進駐し、米兵や豪州兵の社交場として利用され、その後は善通寺市役所や善通寺公民館、市立郷土館などとしても使われてきた。

 建物は東西に長い木造平屋建て。中央には玄関ポーチがあり、南側にはベランダを設けて庭園と建物を一体的に利用できるようにしている。2001年に重要文化財となった後、保存修理工事が行われ、カフェなどが入る付属棟も建てられた。

 建物の中に入り、白いアーチが印象的な廊下を歩く。白いレースのカーテンを通して太陽の光が優しく降り注いでいて、思わず足を止めた。


廊下には自然光が優しく降り注ぐ=善通寺市文京町、旧善通寺偕行社

廊下には自然光が優しく降り注ぐ=善通寺市文京町、旧善通寺偕行社


 廊下の左手には、1922(大正11)年に陸軍大演習を参観された皇太子(後の昭和天皇)が宿泊された北貴賓室、奥にはその際に御座所として利用された南貴賓室がある。ブルーのじゅうたんやシャンデリアは新しいものだというが、クラシカルな雰囲気を今に伝えている。


青いじゅうたんが印象的な南貴賓室=善通寺市文京町、旧善通寺偕行社

青いじゅうたんが印象的な南貴賓室=善通寺市文京町、旧善通寺偕行社


 大広間は東西約31メートル、南北約11メートル、天井の高さは4・5メートルもある広々とした空間。床は深いグリーンのような色合いで、シャンデリアから注ぐ温かみのある光も相まって落ち着いた空間だ。

 また、庭から見る偕行社も必見。真ん中だけ色合いの違う瓦は古い瓦を利用しており、その長い歴史を物語っている。

 開館時間は10:00~16:00。入場無料。問い合わせは偕行社事務室、電話0877-63-6362。

(四国新聞・2020/01/21掲載)


旧善通寺偕行社(善通寺市ホームページ)

旧善通寺偕行社


所在地 香川県善通寺市文京町2-1-1
営業時間 10:00~16:00
TEL 0877-63-6362(偕行社事務室)
入場料 無料


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