安冨(画家)神垣(漆芸家)の歩み紹介 県文化芸術新人賞展 8日から・高松
2017年度の県文化芸術新人賞に輝いた美術家を紹介する作品展が8日から、高松市番町の県文化会館で開かれる。受賞者は高松市の画家安冨洋貴(41)と、東京都の漆芸家神垣夏子(38)。2人は初期の作から新作までを出品、芸術家としての歩みをたどることができる。24日まで。
安冨は04年に京都造形芸術大大学院を修了後、夜の心象風景をテーマとした鉛筆画に取り組む。硬さが異なる鉛筆で塗り重ねた透明感のある写実的な表現が特徴で、作品は全国の百貨店で開く個展やグループ展を中心に発表している。安冨は「日本人は水墨画や漫画など白黒の表現に対する感受性が鋭い」と話し、「鉛筆画のモノクロームが内包する色彩を感じてほしい」と来場を呼び掛けている。
今展には30点を出品しており、このうち「透過する旋律」(19年)は、水面に複数の波紋が重なる様子を表現した作品。ほかに、鉛筆画に水彩や油彩の技法を一部取り入れた初、中期の作も紹介する。
東京都出身の神垣は大学卒業後の07年に県漆芸研究所へ入所。竹ひごを編んだ籃胎(らんたい)など讃岐漆芸の技法と独自の表現を組み合わせた作品を手がけており、現在は公募展を主な活動の場としている。今展には「漆芸家としての自分を育ててくれた香川に恩返ししたい。受け継がれた技を守りながら、新たな感性も未来に伝えられたら」と思いを寄せる。
出品作16点のうち「籃胎蒟醤(きんま)箱『川霧』」(17年)は、県文化芸術新人賞を受けるきっかけとなった作品。銅版画の点描に使う道具を応用して細かな霧を表現した独自の蒟醤は、研究所時代に銅版画講座へ参加した経験がヒントになったという。研究所時代の課題で制作した日本画を表装したものも展示する。
入場無料。8、9、16、23日の13:30から出品作家が作品解説を行う。問い合わせは県立ミュージアム、電話087-822-0002。
(四国新聞・2020/02/06掲載)
県文化芸術新人賞展
所在地 | 香川県高松市番町1-10-39 |
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開館時間 | 9:00~17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 毎週月曜日(月曜日が休日の場合は、原則として翌火曜日) |
TEL | 087-822-0002 |