高松市出身の文豪・菊池寛が友人と創刊した同人誌に焦点を当てた展覧会「第四次新思潮の青春」が、高松市昭和町の菊池寛記念館で開かれている。大正時代の文学青年たちの意欲的な活動と友情の行方を、菊池寛記念館の収蔵品を中心に紹介している。31日まで。



 「第四次新思潮」は現在の東京大教養学部に当たる第一高等学校の生徒だった寛と、同級生の芥川龍之介、久米正雄、松岡譲、成瀬正一の5人が在学中の1916年2月に創刊。17年3月までに全11冊を刊行し、芥川の短編小説「鼻」や寛の代表作「父帰る」などが発表された。

 会場には両親が三木町出身の成瀬の書簡や日記に加え、同人誌の複製、資料パネルなど約30点を展示。15年12月の成瀬の日記には、「どうやら雑誌発行がモノになり相(そう)になって来た」とあり、同人誌の創刊が現実味を帯びてきた喜びを伝えている。同人誌を休むことが決まった17年に、米国留学中の成瀬がほかのメンバーを批判して再考を求めた書簡も並ぶ。

 このほか、同人誌廃刊までに抱えた借金に関する寛の資料や、夏目漱石の娘を巡る久米と松岡の確執を紹介するパネルなども展示している。

(四国新聞・2020/03/26掲載)

展覧会「第四次新思潮の青春」


所在地 香川県高松市昭和町1-2-20 サンクリスタル高松3階
開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)
TEL 087-861-4502


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