香川県観音寺市有明町の有明浜で海浜植物のハマヒルガオが群生を作りながら淡いピンク色の花を咲かせている。潮風を受けながら気持ちよさそうに揺らぎ、初夏の風情を漂わせている。


有明浜で愛らしく咲いている海浜植物のハマヒルガオ=観音寺市有明町


 ハマヒルガオはヒルガオ科の多年草。砂地を好み、地下茎が砂中をはうように伸びて群生を作っている。花期は5~6月とされ、花冠は直径5~7センチほどで朝に太陽の光を浴びて咲き、夜には閉じるという。

 砂浜一帯では今月初旬からちらほら咲き始めた。かわいらしい小さな花々が浜辺を彩っており、散歩に訪れた人が「愛らしい」などと足を止めて眺めるなど楽しんでいる。

 ただ、花の数は少なく、新型コロナウイルスの影響なのか“自粛ムード”で、ひっそりと咲いてるようにも見える。有明浜の環境保全に取り組んでいる「香川の水辺を考える会」の吉田一代代表によると、2004年の台風による高潮で大きな被害を受けたことなどから、ハマヒルガオの群生は減少傾向にあるという。吉田さんは「足下のかれんな花も懸命に生きている。これからもずっと自生していけるよう優しく見守ってほしい」と呼び掛けている。

 有明浜には、先端が茶色の麦穂を思わせるコウボウムギやハマボウフウといった貴重な海浜植物が多く生息しており、植物の群落は観音寺市の天然記念物にも指定されている。

(四国新聞・2020/05/21掲載)



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