現在は陸続きの瀬居島を含め、与島など香川県坂出市の五つの島を観光船で巡るツアーが8月10日に開催される。大正末期から60年余りにわたって、坂出と島々を結び運航していた旧連絡船「千当丸」の足跡をたどる内容で、普段は行けない絶景スポットや名物料理を通じて、島の移り変わりを体感してもらう。


千当丸のかつての航路


 ツアーは、かつての歴史ある航路を知ってもらおうと、坂出市観光協会が初めて企画。2013年から年2回開催している三つの島を巡る「さかいで3島物語」は、毎回定員を超える応募が寄せられるなど人気企画となっている。

 郷土史「坂出市の島しょ部の歴史と民俗」によると、千当丸は1924(大正13)年、与島の島民が坂出と岡山県の下津井間に航路を開いたのが始まり。漁が盛んで漁船の移動手段を持つ櫃石島や岩黒島と違い、石材業が主力産業の与島では定期船が求められていた。

 53(昭和28)年の坂出市との合併を機に航路を延長し、便数も1便から4便に増便。利便性の向上によって人の往来や物資輸送が盛んになったが、88年の瀬戸大橋開通によって千当丸は役目を終えたという。

 今回のツアーでは坂出港を出発し、68年に海を埋め立てて陸続きとなった瀬居島や、瀬戸大橋の完成で車、バスでの往来が可能となった与島、岩黒島、櫃石島のほか、小与島を訪れて下津井港で折り返す。切り立つ岩が間近に迫り写真映えする採石場跡や、瀬戸大橋を真下から見上げる珍しい光景に加え、昼食では島民手作りのたこ飯が楽しめる。


切り立つ岩が間近に迫る小与島の採石場跡


 現在、参加者を募集しており、坂出市観光協会は「普段は見られない景色を見て、非日常を楽しんでもらえれば」としている。ツアーは午前9時から午後3時10分までの予定。定員30人(先着順)で予約が必要。参加費は2千円。申し込み、問い合わせは市観光案内所、電話0877-45-1122〉。

(四国新聞・2020/07/23掲載)


坂出市観光協会


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