四国水族館(香川県綾歌郡宇多津町)のイルカプログラムが「まるでラッセンの世界」と話題になっている。夕日でオレンジ色に染まる雲やきらめく海面をバックに、豪快にジャンプするイルカの美しいシルエット―。神秘的な光景を求め、一眼レフカメラなどを手に訪れる人が増えている。


「まるでラッセンの世界」と話題になっているイルカプログラム=宇多津町、四国水族館


 きっかけは7月下旬、イルカやクジラをリアルに描いた作品で知られるアメリカの画家、クリスチャン・リース・ラッセン氏の絵のようなものが撮れたとのコメントを添えてツイッターに投稿された写真。これが反響を呼び、以降、イルカと夕日が調和した写真や動画の投稿が相次ぎ、担当者は「本格的な機材を持って訪れる人が増えた」と変化を口にする。

 飼育されている7頭のマダライルカは急成長を見せている。4月のオープン当初と比べて体長に大きな変化はないもののジャンプはダイナミックになり、前方、後方宙返りなどの完成度も高まった。イルカプログラムでは毎回同じメニューではなく、成長に合わせて新しい動きにも挑戦している。

 プール自体には近接する瀬戸内海をイルカが泳いでいるように見せる工夫が凝らされている。特に夏場は正面に夕日が沈む絶好のシーズンのため、四国水族館は7月18日から今月31日まで営業時間を延長し、イルカプログラムを毎日1回、午後6時半から行っている。

 水槽を絵画の額縁に見立てるなど美術館のような仕掛けを施している四国水族館で、新しいアートな魅力を来館者が引き出した。イルカプログラムは31日まで。担当者は「ラッセンと関連付ける着眼点は面白く、多くの人に興味を持ってもらえてうれしい。残りわずかになった夕日とのコラボレーションを楽しんでもらえれば」と話した。

 また、四国水族館は営業時間の延長期間中、16:00以降に浴衣で来館した人にはオリジナルグッズをプレゼント。18:00から水槽の照明を切り替え、幻想的な雰囲気を演出している。ビアテラスでは瀬戸内海の夜景と酒、グルメが堪能できる。

 一方、新型コロナウイルス予防策では館内での「密」を避けるため入場制限や施設の巡回消毒を行っているほか、入場前の検温、マスクの着用を要請。熱中症対策としては屋外の一部エリアで噴霧装置を活用。オープン前にチケット購入を待つ人や屋外プログラムの参加者には日傘を貸し出している。

(四国新聞・2020/08/24掲載)


四国水族館



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