「髪授神祠」理容遺産に 石清尾八幡宮、四国初 薄毛などに御利益
髪の毛を守るという国内でも珍しい神様が祭られている石清尾八幡宮(香川県高松市宮脇町)境内の「髪授神祠(はつじゅしんし)」が、次世代に残すべき理容に関する歴史的建造物などを対象とした「理容遺産」に認定され、23日に祠(ほこら)前で記念石碑の除幕式が行われた。認定は全国で10番目、四国では初。全国に先駆けて建立した祠で、古くからの由来に基づいて1年に1度例大祭を執り行っている点が評価された。
髪授神祠は、現在の県理容生活衛生同業組合(佐藤功理事長)の有志47人が1956年に建立。髪の毛の神様、飽咋之宇斯能神(あきぐひのうしのかみ)と理容業の祖、北小路采女亮(きたこうじうねのすけ)藤原政之(ふじわらまさゆき)を祭っており、乳児の初毛を供えて祈願すると、その子は一生、美髪に恵まれると伝えられるほか、薄毛や白髪の防止、体毛の発育にも御利益があるとされている。
理容遺産は、全国の理容店オーナーでつくる全国理容生活衛生同業組合連合会(東京、大森利夫理事長)が2011年に創設。これまでに大正末期に創立した理容館や南極観測船内の理容室などが選ばれている。
この日の除幕式は大森理事長や、髪授神祠奉賛会の会長も務める佐藤理事長ら約50人が出席。「髪授祭 万枝の秋に 友集ふ」と刻まれた理容遺産の認定を示す石碑と髪授神祠の由来を紹介した石碑が公開され、大森理事長が「新型コロナウイルスで業界は大変なときだが、これを機に少しでも平穏に向かってほしい」とあいさつした。
認定式に併せて今年の例大祭も行われ、関係者が次々と玉串をささげ、商売繁盛と業界の発展を祈った。佐藤理事長は「香川の歴史を長く保存していきたい」と話した。
(四国新聞・2020/11/24掲載)