絵画に秀で、透明感のある風景画を多く残した高松市出身の伊東義久(1917~2003年)の作品展「鉛筆淡彩画―伊東義久の世界―」が、高松市塩江町の市塩江美術館で開かれている。鉛筆の柔らかい線と水彩の淡い色使いで、自然の美しさを表現した風景画26点が会場を彩っている。来年1月17日まで。


透明感のある風景画が並ぶ「伊東義久展」=高松市塩江町、市塩江美術館


 伊東は旧香川町出身。早稲田大学卒業後、銀行勤務や住宅メーカー社長を経て、退職後に本格的に絵画制作に取り組んだ。自然をめでながら制作を続けたドイツの文豪ヘルマン・ヘッセの姿勢に感銘を受け、その暮らしぶりにならって晩年まで庭仕事と絵画制作を続けたという。

 今展では、同館の所蔵作品を制作年順に展示。ボートが浮かぶ湖畔や、草原に立つ民家、漁船が出航しようとする港など、穏やかな風景を描いた作品が並ぶ。水面や木々の緑などは透明感が際立ち、作品によってさまざまな表情を見せている。

 このほか、伊東が共感したヘッセの言葉や画文集なども紹介することで、伊東の制作姿勢や心情にも触れることができる。

 観覧料は一般300円ほか。問い合わせは高松市塩江美術館、電話087-893-1800。

(四国新聞・2020/11/26掲載)


高松市塩江美術館



関連情報