工芸界で国内最大規模の公募展「第67回日本伝統工芸展」(県立ミュージアムなど主催)が、来年1月2日から高松市玉藻町の同ミュージアムで開かれる。受け継いだ伝統技法を磨き上げ、新たな表現を追究した「美の結晶」が、新春の讃岐路を優雅に彩る。17日まで。


山下義人「珊瑚蒟醤合子」

山下義人「珊瑚蒟醤合子」


 陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門に全国から1186人、計1280点の応募があり、入賞16点を含む563点が入選。県内在住者では、初入選となった漆芸の藤井一真=高松市=ら15人(陶芸2人、漆芸12人、諸工芸1人)が入選した。

 同展は全国10都市を巡回。高松展では、重要無形文化財保持者(人間国宝)42人の作品や入賞作をはじめ、四国在住作家、県漆芸研究所の修了生や香川ゆかりの作家の入選作など計200点を展示する。


大谷早人「籃胎蒟醤菓子器『夕映え』」

大谷早人「籃胎蒟醤菓子器『夕映え』」


 漆芸部門は、全入選作80点を紹介。地元の人間国宝は、蒟醤(きんま)の山下義人=高松市=と、今年新たに蒟醤の人間国宝に認定された大谷早人=同=が出品する。山下の「珊瑚(さんご)蒟醤合子(ごうす)」は、鮮やかな赤漆のグラデーションと金粉を使って生命力あふれる海中のサンゴを描写した。大谷の「籃胎(らんたい)蒟醤菓子器『夕映え』」は出身地・男木島の夕景がモチーフ。布目彫り蒟醤の技法で男木島から見える夕日や瀬戸内の島々を柔らかく表現している。

 初入選となった藤井の「彫漆(ちょうしつ)箱『潜龍(せんりゅう)』」は、海中にたたずむタツノオトシゴを描いた。このほか、蒟醤の人間国宝だった故太田儔=同=の遺作「籃胎蒟醤八角食籠(はっかくじきろう)『律(りち)の調べ』」も展示される。

 9日午後1時半から県美術コーディネーターの住谷晃一郎の講演会「彫りと色彩の讃岐漆芸」(要申し込み)がある。また、会期中は日本工芸会四国支部会員による陳列品解説が動画配信サイト「ユーチューブ」で視聴できる。

 入場料は一般650円(前売り520円)ほか。問い合わせは同ミュージアム、電話087-822-0002。

(四国新聞・2020/12/30掲載)

香川県立ミュージアム


所在地 香川県高松市玉藻町5番5号
開館時間 9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
会期 令和3年1月2日(土曜日)~1月17日(日曜日)
※会期中は無休
観覧料 一般650円、前売・団体(20名以上)520円
※ミュージアムパスポートを使用できます
※高校生以下、65歳以上、身体障害者手帳等をお持ちの方は観覧料無料


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