香川県三豊市の七宝山系の志保山(しおやま)(標高426メートル)で、地元住民らが取り組んできた東峰(標高360メートル)の頂上付近の整備が一段落し、南方以外の270度の眺望が楽しめるビューポイントがお目見えした。三豊市仁尾町、荘内半島方面を望む位置に看板とベンチ2基を設置したほか、東峰の頂上手前で生い茂った樹木を伐採し、三豊平野を一望できるようになった。昨年11月には志保山の9カ所に眺望の写真入りの案内板を立て、各方向に眺められる山々や一口メモを記している。


頂上付近の整備が一段落し、270度の眺望が広がった志保山の東峰。看板とベンチ、眺望の写真入りの案内板が設置された=三豊市三野町、三豊市高瀬町


 志保山は三豊市の仁尾町、三野町、高瀬町にまたがる里山で、石垣の隙間から冷風が吹き出し「天然の冷蔵庫」として使われた風穴(ふうけつ)や山桜の巨木があることで知られる。仁尾町の真鍋正和さん(71)ら有志が2013年から登山道の整備を進め、今では手軽に山頂を目指すことができる。

 東峰は志保山の東側に位置するもう一つのピーク。これまでは整備が進んでおらず殺風景だったが、真鍋さんらが3年がかりで生い茂っていた樹木を伐採し、北に三豊市詫間町方面、東に三野町、高瀬町方面、西に仁尾町方面と3方向の眺望が楽しめるようになった。

 条件が良ければ北は屋島北嶺を望むことができるほか、頂上の手前からは南東に横たわる讃岐山脈が見え、その向こうに徳島県の国見山が顔をのぞかせている。


志保山東峰の頂上手前からは三豊平野とその向こうの讃岐山脈を一望できるようになった


 一方、志保山の山頂付近でも、数年をかけて西側に生えていた樹木を伐採。仁尾町方面の眺望が広がり、父母ケ浜などを見渡すことができるようになった。昨年11月にはベンチ2基を設置し、腰掛けて一息つけるようにした。

 案内板は、志保山の中間展望台と東峰、山頂、パラグライダー基地などのビューポイントに据え付けた。一口メモは郷土史に詳しい前詫間町考古館館長の前田高次さん(71)が執筆。前田さんは東峰に設置した看板も揮毫(きごう)した。

 真鍋さんは「志保山は『天空の鳥居』で知られる稲積山方面への縦走が楽しめる山。眺めは東峰がお薦めで、270度の視界が開けた里山はなかなかない。登山を安全に安心して楽しんでもらえるよう、今後も整備を続けていきたい」と話している。

(四国新聞・2021/01/05掲載)



関連情報