詩情豊かな蒟醤の世界 漆芸家・伊賀 高松で個展 来月14日まで
香川県高松市在住の漆芸家・伊賀寛泰(76)の個展が、香川県高松市番町の香川県文化会館で開かれている。紅葉など身近な自然の美しさを温かい色合いで表現した作品を紹介。半世紀にわたって制作を続ける伊賀の詩情あふれる世界観が味わえる。2月14日まで。
伊賀は漆芸家だった父・三景の影響で、東京芸大大学院に進んで漆芸を学んだ。高松工芸高校(香川県高松市番町)で生徒を指導する傍ら日本伝統工芸展などで受賞を重ね、2001年に県指定無形文化財保持者に認定されたほか、16年には旭日双光章を受章した。
会場には箱や器など代表作約20点を展示。伊賀の作品は豊かな色使いが特徴で、秋の情景を描いた「彩漆蒟醤飾箱(さいしつきんまかざりばこ)『秋彩(しゅうさい)』」は、色彩の明暗によって木々や落ち葉の重なりに奥行きが感じられ、まるで絵画を見ているような感覚に陥る。
側面に波をあしらった「彩漆蒟醤飾箱『光彩(こうさい)』」は、貝殻を貼り付ける螺鈿(らでん)の技法も用いて水面の輝きや波のリズム感を表現している。
会場には、伊賀が香川県漆芸研究所に寄贈した讃岐漆芸の祖・玉楮象谷(たまかじぞうこく)が幕末に描いた直筆の画帖(がじょう)(スケッチ)も公開されている。
観覧無料。問い合わせは香川県漆芸研究所、電話087-831-1814。
(四国新聞・2021/01/28掲載)
詩情豊かな蒟醤の美 伊賀寛泰展
会場 | 香川県文化会館1階 香川漆芸ホール(香川県高松市番町1-10-39) |
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開催日時 | 2021/01/15(金)~2/14(日)9:00~17:00 |
入場料 | 無料 |
休館日 | 会期中無休 |
TEL | 087-831-1814(香川県漆芸研究所) |