色や音に焦点、作品ずらり 東山魁夷美術館で企画展
坂出市沙弥島の東山魁夷せとうち美術館で、テーマ作品展が開かれている。今回はタイトルに色や音に関する文字や言葉が使われた作品に焦点を当てており、来館者は魁夷が作品に込めた思いなどに想像を巡らせている。4月4日まで。
東山魁夷せとうち美術館は魁夷の全作品集に掲載された1260点のタイトルから、色や音に関する漢字の使用数をそれぞれ集計。色については「緑」「青」「白」が、音に関しては「静」「音」「響」などが多く、これらが含まれる作品計32点を展示している。
「画題にみる色」と題した展示では、「緑」について「自然に欠かせない色」とし、山の木々や丁寧に手入れされた庭園を描いた作品を紹介。タイトルに「白」を使った作品では、雪や雲、霧のほか、白馬や白樺(しらかば)などを表現し「清浄感や神秘的な雰囲気を感じさせる」と解説している。
「風景に聴く音」をテーマにした展示では、岩に白波が打ち付ける「潮音(ちょうおん)」や、深い谷に一筋の滝が落ちる「青響(せいきょう)」、整然と並んだポプラ並木が水面にも映り、上下対称の構図の「静唱(せいしょう)」などを取り上げている。自然の音や風景を前にした魁夷の心境に思いをはせながら鑑賞を楽しむことができる。
(四国新聞・2021/03/26掲載)