東山魁夷せとうち美術館(坂出市沙弥島)で春の特別展「資生堂アートハウス名品選―椿に集う画家たち」(東山魁夷せとうち美術館主催)が10日から始まる。優れた美術コレクションで知られる資生堂アートハウス(静岡県)の所蔵品から、魁夷と同時代に活躍した山口蓬春(ほうしゅん)や奥田元宗、上村松篁(しょうこう)ら10人の作品を選出。近現代を代表する日本画家が鋭い観察眼で花鳥風月を表現した名作が楽しめる。5月23日まで。


山口蓬春「椿」1965年 49.0×59.0センチ


 共に建築家谷口吉生が設計したことで交流がある資生堂アートハウスの協力で開催。アートハウスは、約100年にわたって作家に発表の場を提供してきた資生堂ギャラリー(東京)の「椿会美術展」出品作などを所蔵している。資生堂ギャラリーで個展を開くことは作家のあこがれだったという。


奥田元宋「月下細瀑」1985年 60.6×72.8センチ


 特別展は、椿会展に出品された日本画など20点を2章構成で紹介。第1章は魁夷が活躍した時代に焦点を当て、霧が立ちこめる幽玄な山中を描いた奥田元宗の「月下細瀑(げっかさいばく)」や、100歳を迎えた稗田一穂(ひえだかずほ)の代表作「山上湖」などが並ぶ。魁夷の「みづうみ」を原画に資生堂パーラー(東京・銀座)のために製作されたタペストリーも必見。

 第2章は資生堂のシンボルマークであるツバキにまつわる作品を集めた。花瓶に生けた紅白のツバキを描写した山口蓬春の「椿」は、花弁の美しい模様とともに切りたての花の生き生きとした様子が目を引く。上村松篁らが原画を手掛けた華やかな化粧品パッケージなど8点も色を添える。

 担当学芸員は「貴重な名画に浸って豊かな心を養ってもらえれば」と話している。

 観覧料は一般620円ほか。問い合わせは東山魁夷せとうち美術館、電話0877-44-1333。

(四国新聞・2021/04/07掲載)

東山魁夷せとうち美術館


所在地 香川県坂出市沙弥島224−13
営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日(5月3日は開館します。)
TEL 0877-44-1333


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