美しい景観そのままに 高松市水道資料館 「平成の大改修」完了 27日から一般公開
高松市鶴市町の市水道資料館(旧御殿水源地)で実施していた耐震改修工事が完了し、14日に報道陣に公開された。改修した旧喞筒(そくとう)場(ポンプ場)、旧事務所とも建設から100年余が経過する中、洋風建築の美しい景観をとどめたまま復活した。再開後は民間事業者との意見交換を通して市場性などを把握する調査も行い、施設の有効活用策を探る方針。27日から一般公開も再開する。
同資料館は、大正期に建設、給水を開始した市最初の浄水場跡。旧喞筒場は1918(大正7)年、旧事務所は17(同6)年に完成した木造の洋風建築で、白く塗られた外壁と水色の柱が特徴となっている。87年に浄水場の役目を終えた後は旧喞筒場を歴史館、旧事務所をPR館として市民らに開放。両館は97年に国の登録有形文化財にも登録された。
工事は、建物の老朽化などを受けて2017年から実施。建物の耐震補強では外壁の内側に地震の揺れを軽減する制震ダンパーを取り付けるなどする一方、文化的価値を損なわないよう、天井で一部の筋交いが見える程度にとどめるなど見た目にも配慮した。旧事務所のPR館には多機能トイレや授乳室などを設けたスペースを増設、通路のバリアフリー化も行った。工事費は約3億8千万円。
また、同資料館では婚礼の前写しが12~16年度の5年間で計432件に上るなどしており、同資料館をユニークベニュー(特別な会場)に位置付けた上で、施設を所有する県広域水道企業団が民間事業者から活用策を募るサウンディング型市場調査を実施する。
同調査は行政にとって柔軟な意見が得られるだけでなく、民間側も課題を事前に知り、事業者選定の際に行政の意図を酌んだ提案ができるメリットがある。同企業団高松事務所は「使ってもらうことで保存を続けるサイクルを確立したい。民間の視点で建物の魅力がより伝わる提案を期待したい」としている。
(四国新聞・2019/05/15掲載)