今年3月に惜しまれつつ閉店したJR多度津駅(多度津町栄町)の構内にあった食堂が、香川県善通寺市善通寺町に移転オープンした。JR多度津駅にあった頃から利用していたJR四国の社員や鉄道ファンらが訪れ、営業再開を喜んでおり、店主の高田芳紀さん(63)は「地域の人の笑顔を見るため、新天地でも頑張りたい」と意気込んでいる。


「地域の人のために新天地でも頑張りたい」と話す高田さん=善通寺市善通寺町


 JR多度津駅では「構内食堂」という店名で、JR四国の社員食堂として営業していた。社員以外も利用することができ、制服姿の運転士や車掌らと同じ空間で食事ができることから、鉄道ファンや地域住民から人気を集めていたが、建物の老朽化を受け、3月に閉店した。

 高田さんは構内食堂で13年前から店主を務め、ほぼ1人で切り盛りしていた。新型コロナウイルスの影響が続く中、閉店後に別の場所で営業を再開することに不安はあったものの、常連客らから再開を望む声が多く聞かれたため「もう一踏ん張りしよう」と移転を決意。出身の善通寺市に店を構えることにした。

 店名はそのままで、今月10日から総本山善通寺の西側の場所で営業している。人気のカレーライスや唐揚げ定食など以前と同じメニューを提供。住民らが気軽に利用できるようにと、価格も同じく500円のままで、多い日には約80食が出る人気ぶりという。店内には以前の店に掲げていたのれんや、知人の鉄道写真家が撮影した写真などを展示し、多度津の頃の雰囲気を残している。

 高田さんは「周囲の人の支えがあって今がある。恩返しするため、体が動く限りは続けたい」と話している。

(四国新聞・2021/05/24掲載)

構内食堂


所在地 香川県善通寺市善通寺町1059−3
営業時間 10:30~14:30


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