江戸時代以降の風呂の歴史や特色を紹介する企画展「香川・瀬戸内の風呂文化」が、香川県高松市亀水町の瀬戸内海歴史民俗資料館で開かれている。家庭で利用されていた土製の風呂釜や瀬戸内を中心に見られた石風呂に関する展示を通して、当時の人たちの生活ぶりを今に伝えている。27日まで。


瀬戸内で多く見られた石風呂や県内で使用されていた土製の風呂釜などを紹介する企画展=高松市亀水町、瀬戸内海歴史民俗資料館


 会場には、実際に使われていた土製の風呂釜をはじめ、パネルや写真など計約50点を展示している。中でも興味深いのは「石風呂」。解説パネルによると、周囲を土などで覆った中でまきをたき、まきが炭になると海藻などを並べて蒸気を発生させ、むしろを敷いてそこに座って蒸気を浴びるという。現在はほとんど見られないが、当時は大衆浴場として親しまれ、瀬戸内の風呂文化の大きな特徴とされている。

 香川の石風呂は、主に(1)洞穴を利用するタイプ(2)石をドーム形に積むタイプ(3)古墳の横穴式石室を活用したタイプの三つ。江戸時代に編まれた「讃岐国名勝図絵」や東かがわ市の「水主の石風呂」を管理していた大山家などの古文書からも、石風呂が当時の人々に浸透していた様子をうかがい知ることができる。

 会場には併せて、県内の石風呂分布マップを掲示。現在でも唯一、定期的に利用されている「塚原のから風呂」(さぬき市)を題材に、そのたき方や入浴法を写真と共に細かく伝えている。

 担当者は「香川の風呂がどう利用され、親しまれてきたか、現物や資料を見ながら楽しく知ってもらえたら」としている。

 月曜休館。新型コロナウイルス感染症対策のため19、20日は閉館。入場無料。問い合わせは瀬戸内海歴史民俗資料館、電話087-881-4707。

(四国新聞・2021/06/17掲載)



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