冷凍ラーメンや半生うどん、土産用の菓子などが買えるユニークな自動販売機が香川県内で相次いで登場している。いずれも地元の飲食店や菓子メーカーの自社商品で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛が続く中、新たな収益につなげるのが狙い。来店のついでや店の営業時間外に購入する人から好評で、コンパクトな包装が評価され、新たな販路につながったケースもある。


冷凍ラーメンの自販機を設置した軌跡本店。来店時のついでだけでなく、営業時間外でも売れている=高松市室新町


 香川県高松市室新町の塩ラーメン専門店「軌跡本店」は2日、店舗横に冷凍ラーメンの屋外型自販機を四国で初めて導入。店舗で扱う麺やスープ、具材をそのまま冷凍。「鯛(たい)塩ラーメン」(750円)や「海老(えび)塩ラーメン」「煮干塩ラーメン」(各770円)のほか、ギョーザも扱っており、麺をゆで、スープや具材を湯せんすることで店の味が自宅で味わえる。

 非対面で24時間販売できるとして、首都圏のラーメン店で導入が相次いでいることから設置した。「飲食店で一番つらいのは店の味を忘れられること。万一、時短営業や休業を要請されても店の味を届けられる仕組みが必要だと感じていた」とは「軌跡本店」を経営する寺地律人社長。1日10食ほど売れているといい、今後は油そばや新メニューの追加も検討している。

 土産菓子を製造するツジセイ製菓(高松市)は4月、自社が運営する高松市番町のエッグタルト専門店に「ご当地味」の菓子を入れた自販機を設けた。新型コロナで県外に出られない人に気軽に観光土産を楽しんでもらおうと、定期的に商品を入れ替えており、現在はゴーフレットで愛媛の「伯方の塩バニラ」と京都の「宇治抹茶和三盆」(各300円)を販売。自販機をオリジナルのデザインにすることで店舗の看板としての効果も期待する。

 自販機での販売は「仕事の合間や公共交通の待ち時間などに楽しみたいという需要が取り込める」とツジセイ製菓。今後は中四国のオフィスビルや空港などへの導入を計画している。

 今年初めから、店舗前に半生うどんの自動販売機を設置したのは、高松市林町のセルフうどん店「愉楽家」。缶ジュースとほぼ同じ大きさで、購入時につぶれないよう耐久性を持たせた八角形のパッケージが特徴。味のバリエーションもかけ、ざる、しょうゆ、カレーなど豊富で、これらを詰め合わせた贈答用が好評なほか、コンパクトなパッケージが景品に適しているとして、ゴルフコンペの参加賞用など新たな販路につながった。

 愉楽家を経営する柳萬政義社長は「味には自信があったが、知ってもらうには売り方が重要。自販機での成功を新たな商品作りに生かし、良い循環につなげたい」としている。

(四国新聞・2021/07/14掲載)

塩ラーメン専門店「軌跡本店」


ツジセイ製菓


讃岐うどん 愉楽家 林店



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