香川県琴平町出身で画家などとして活躍した和田邦坊(1899~1992年)の香川での画業を振り返る企画展が、香川県善通寺市大麻町の灸まん美術館で開かれている。讃岐の風物詩や歴史の一場面などを描いた色彩豊かな作品が並び、邦坊の郷土愛あふれる世界観に浸ることができる。11月14日まで。


和田邦坊が郷里の香川を題材に描いた作品が並ぶ企画展=善通寺市大麻町、灸まん美術館


 邦坊は東京で新聞漫画家としてデビュー。記者や小説家としても脚光を浴びたが、1938年に戦況悪化や体調不良から帰郷した。今展は5月に第1部が始まった「讃岐の画家、和田邦坊」の第2部。第1部からほぼ総入れ替えし、東京時代に手掛けた記事や漫画の切り抜きを含む計152点を展示した。

 このうち、源平合戦で那須与一が馬上で弓を引くシーンを画題にした「屋島」(62年)は初公開。邦坊らしい力強い線とカラフルな配色が存在感を放っている。香川県外で開かれた香川の物産展のディスプレーとして制作したもので、邦坊の古里に寄せる思いが感じ取れる。

 高松から見える瀬戸内の風景を描いた「讃岐の朝」(75年)は、高松城や海に浮かぶ小島を多彩な色で表現したエネルギーあふれる作品。このほか、獅子舞など秋の情景をあしらった掛け軸、金刀比羅宮の参拝者を柔らかいタッチで描写した絵巻、直筆イラスト入りの茶わんも並ぶ。

 灸まん美術館の西谷美紀学芸員は「感染症対策はできる限り行っているので、邦坊の作品に元気をもらいに来てほしい」と話している。

かがわ文化芸術祭2021の参加行事。入場料は一般500円ほか。新型コロナウイルスの感染状況によっては中止・変更の可能性がある。問い合わせは灸まん美術館、電話0877-75-3000。

(四国新聞・2021/08/26掲載)

灸まん美術館


所在地 香川県善通寺市大麻町338
営業時間 9:00~17:00
定休日 水曜日
TEL 0877-75-3000

灸まん美術館



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