香川県三豊市財田町の香川用水調整池、宝山湖の湖畔で3万~4万本あるとされるヒガンバナが、昨年より1週間ほど早く見頃を迎えた。一面が燃え立つような深紅に染まった光景は壮観で、遠方からも多くの人が訪れて散策や写真撮影を楽しんでいる。


宝山湖の湖畔を深紅に染めるヒガンバナ=三豊市財田町


 ヒガンバナが咲いているエリアは、宝山湖の南東にある小高い丘の斜面を中心にした約2千平方メートル。近くの農業、図子忠義さん(84)、フミ子さん(81)夫妻が大勢にめでてもらおうと、10年ほど前から球根を植え、草刈りなどをして徐々に数を増やしてきた。忠義さんは、湖周辺の土地を所有する水資源機構香川用水管理所(香川県仲多度郡琴平町)から管理の委託を受けている三豊シルバー人材センターのメンバーで、ボランティアで活動している。

 今ではヒガンバナの名所として知られるようになり、香川県三豊市財田町が誇るスポットとして地域を挙げて保全に取り組もうと、住民団体「まちづくり推進隊財田」が昨年、「宝山湖の彼岸花をまもる会」を設立。今年3月には20人余りが参加してイノシシに荒らされた箇所に球根約5千本を植え付けた。忠義さんも引き続き熱心に日頃の世話に当たっている。

 エリアでは、遊歩道沿いに真っ赤なじゅうたんを敷き詰めたように花が重なり合い、湖を望む一角には白いヒガンバナが密集して好対照をなす。湖も被写体にしたアングルをと、写真愛好家たちが盛んにカメラを向けている。

 香川県高松市川島東町から訪れた尾本忠さん(77)は「ヒガンバナを撮るなら県内ではここ」と言い切り、「カレンダーに載っていた写真を参考に、夕日を入れて写したい」と照り映える花を見つめていた。

 一部では盛りが過ぎた花も見られ、見頃はここ数日ほどという。周辺は道路が狭く駐車スペースも少ないことから、水資源機構などは約1キロ離れた宝山湖の駐車場に車を止めて徒歩で訪れるよう呼び掛けている。

(四国新聞・2021/09/23掲載)



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