絵画や漫画、彫刻などジャンルを超えて国内外で活躍した芸術家・タイガー立石(1941~98年)の制作を振り返る「大・タイガー立石展 変幻世界トラ紀行」が、香川県高松市紺屋町の高松市美術館で開かれている。初期から晩年まで約250点の作品が並び、立石の幅広い才能とユーモアあふれる空想世界が広がっている。11月3日まで。


ユーモアあふれる作品が並ぶ「大・タイガー立石展」=香川県高松市紺屋町、高松市美術館

ユーモアあふれる作品が並ぶ「大・タイガー立石展」=香川県高松市紺屋町、高松市美術館


 立石は福岡県出身。時代の象徴を多彩に引用した作風が特徴で、和製ポップアートのさきがけとして注目を浴びた。絵画だけでなく雑誌や新聞の漫画連載でも人気を集めたほか、イタリアに移住してからは著名デザイナーらとの共作で数多くの商品デザインなどを手掛けている。

 展覧会は制作年代順に6章に分けて構成。会場でひときわ目を引く油彩画の大作「昭和素敵大敵」(227×715センチ)は、美空ひばりや三島由紀夫ら昭和を象徴する人物に加え、新幹線開業などの出来事を緻密に描写した。一見すると無造作に絵を組み合わせたようにも見えるが、時代を眺望するような巧みな構図に引き込まれる。

 イタリア時代に試みた「コマ割り絵画」は日本の漫画に着想を得たもの。数コマに分割した画面にSFなどを題材にしたユニークな物語が描かれ、鑑賞者の想像力を刺激する。他にも絵本や漫画、晩年に手掛けた陶彫刻などが並び、立石の創作意欲と斬新なセンスが感じ取れる。

 一般1000円ほか。問い合わせは高松市美術館、電話087-823-1711。

(四国新聞・2021/10/15掲載)

大・タイガー立石展 変幻世界トラ紀行


会場 高松市美術館2階展示室
〒760-0027 香川県高松市紺屋町10-4
会期 2021/9/18~2021/11/3
開館時間 9:30~17:00(入室は閉館30分前まで)
※金・土は9:30~19:00
休館日 月曜
観覧料 一般1000円、大学生500円、高校生以下無料
TEL 087-823-1711

大・タイガー立石展 変幻世界トラ紀行



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