江戸期の旅について、保存史料で当時を振り返る収蔵品展「旅でたどる江戸時代」が、高松市昭和町の市歴史資料館で開かれている。参勤交代に随行した藩士の手紙や庶民の旅に関する記録などが並び、さまざまな旅が行われた当時の社会のありようを浮かび上がらせている。来年1月16日まで。


江戸時代の旅に関するさまざな史料が並ぶ収蔵品展=高松市昭和町、市歴史資料館


 同館によると、江戸時代は国元と江戸を行き来する参勤交代が大名らに課せられたほか、庶民の間でも寺社参詣や湯治、遍路などを目的にした徒歩による旅が盛んに行われたという。今展ではそれらを記録した古文書を中心に、すげがさや印籠といった旅の道具、各地の名所を描いた絵図など約90点の史料を展示している。

 このうち、参勤交代に随行した高松藩の市原作之助が国元の妻に宛てた手紙は初公開。道中で見かけた最新の女性のファッションを絵付きで伝えたり、息子の成長を話題にしたりと、現代と変わらない家族を思う夫の心境を垣間見ることができる。

 また、遍路中に倒れた人が往来手形の情報を基に故郷に向かって送られた記録も紹介。携帯することが前提とされ、身元証明書の役割もあった往来手形が旅先で大切な役割を果たしていたことがうかがえる。

 同展担当の平野文香学芸員は「幅広い史料があるので、それぞれの視点で江戸時代の旅気分を味わってほしい」と話している。

 入館料は一般200円ほか。問い合わせは高松市歴史資料館、電話087-861-4520。

(四国新聞・2021/12/23掲載)

高松市歴史資料館


所在地 香川県高松市昭和町一丁目2-20
営業時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日 月曜日(休日の場合は翌平日)
年末年始(12月19日から1月3日)
TEL 087-861-4520


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