新春恒例の「第68回日本伝統工芸展」(香川県立ミュージアム、日本工芸会など主催)が2日、香川県高松市玉藻町の県立ミュージアムで開幕した。漆芸、陶芸、染織など7部門で計200点を展示。全国の匠(たくみ)による伝統技法と磨かれた感性で美を表現した逸品が会場を彩り、多くの来場者を魅了している。16日まで。



 同展は全国10都市を巡回する国内最大規模の公募展で、高松展は7カ所目。会場では受賞作16点をはじめ、重要無形文化財保持者(人間国宝)45人の作品、県内作家の入選作18点などが並んでいる。

 漆芸部門は、「漆芸王国・香川」をPRするため全入選作78点を紹介。地元の人間国宝は山下義人さん(高松市)と大谷早人さん(同)が出品した。

 このうち佐々木正博さん(さぬき市)の「乾漆蒟醤草花文箱(かんしつきんまそうかもんはこ)」は、十二角形に仕立てた箱に紫の色漆でグラデーションを表現した雅(みやび)やかな作品。山下哲二さん(同)の「蒟醤存清色紙箱(ぞんせいしきしばこ)『涼風(すずかぜ)』」はシロツメクサの草原と2匹のチョウを蒟醤と存清の技法で緻密に描写している。

 訪れた工芸ファンらは1点1点に見入りながら、技と美の共演を堪能。毎年訪れているという高松市の70代女性は「どの作品も美しく、作家の個性が感じ取れる」と話した。

 会期中無休。8日午後1時30分から大谷さんが「籃胎(らんたい)蒟醤―僕と太田先生との思い出―」と題して講演する。また、会期中は県内入選者による列品解説を動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信する。

(四国新聞・2022/01/03掲載)


香川県立ミュージアム

第68回日本伝統工芸展


会場 香川県立ミュージアム 2階特別展示室ほか(香川県高松市玉藻町5-5)
会期 2021/1/2(日)~1/16(日)会期中無休
開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
観覧料 一般650円、前売・団体(20名以上)520円※高校生以下、65歳以上、身体障害者手帳等をお持ちの方は無料
TEL 087-822-0247


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