四国八十八カ所霊場のうち、71番札所弥谷寺(香川県三豊市三野町)から77番札所道隆寺(多度津町)までを順番に参拝する巡礼の「七カ所(しちかしょ)まいり」が、江戸時代から今に伝わっている。7カ寺は、新型コロナウイルス感染防止のため、正月三が日後に初詣に来る人に正月気分を味わってもらおうと「花手水(はなちょうず)」(30日まで)を行い注目を集めている。1月中旬に札所を巡り、悠久の歴史に思いをはせつつコロナ収束を改めて祈った。


険しい山肌に包まれるように立つ本堂は圧巻=三豊市三野町、弥谷寺


 出発地の71番札所弥谷寺は本堂まで540段の階段を上るため、八十八カ所霊場の中でも有数の難所とされる。体力に自信がない人は、裏参道の有料道路を通って270段目の山上駐車場から歩くのがお勧め。山肌に包まれるように立つ本堂や、岩壁に彫り込まれた磨崖仏(まがいぶつ)は圧巻だ。

 72番札所曼荼羅(まんだら)寺(善通寺市吉原町)までは車で約10分。同寺の「笠松大師」は、弘法大師が手植えした松の幹に彫刻したものという。73番札所出釈迦(しゅっしゃか)寺(同)には、幼少期の大師が仏門への願いを込めて断崖絶壁から身を投げた伝説が残る。

 74番札所甲山寺(同市弘田町)の本尊は、心身の災いを除くとされる薬師如来。薬師如来にゆかりがあるウサギが境内の瓦や石彫、お守りなどにあしらわれている。

 昼食を兼ねた休憩を挟み、75番札所総本山善通寺(同市善通寺町)から巡拝を再開。ここの高さ43メートルの五重塔は壮厳だ。76番札所金倉寺(同市金蔵寺町)は乃木希典将軍が旧陸軍第11師団長時代に寄宿したことで知られる。本堂には12のお鈴(りん)でできた「音曼荼羅」があり、神秘的な音に心が洗われる。


1月下旬までは花手水が見られる=善通寺市善通寺町、総本山善通寺


 77番札所道隆寺の仁王門をくぐると、総数255体の聖観音立像(しょうかんのんりゅうぞう)が出迎えてくれた。約半日の巡拝を無事に終えられた感謝の念とともに、境内の立像を見て回った。

 7カ寺は2011年に、各自の境内に七福神のなで仏(ぼとけ)を設置。本堂や大師堂への参拝だけでなく、なで仏からも福運をいただきたい。

(四国新聞・2022/01/22掲載)


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