2019年度の香川県文化芸術新人賞に輝いた3人のうち、バレエダンサーを除く作家2人の作品展が、5日から香川県高松市番町の県文化会館で開かれる。今回出展するのは同市の写真家・宮脇慎太郎(41)と岐阜市の日本画家・福本百恵(37)=三豊市出身=の2人。独自の視点が光る気鋭作家の集大成が一望できる。20日まで。


宮脇慎太郎「写真集『UWAKAI』より」


 宮脇は大阪芸術大卒。東京都のスタジオ勤務を経て08年から高松市に拠点を置き、生活に密着した風景の撮影を続ける。瀬戸内国際芸術祭の公式カメラマンとして活躍し、近年は映像作品も手掛けている。21年からは専門学校の非常勤講師を務める。

 出品作は「時間の流れ」をテーマにしたインスタレーション。瀬戸内海へとつながる四国の水流の映像に、地域の祭りや風景を捉えた大型写真約10点を組み合わせた。宮脇は「船の航路が減少するなど瀬戸内の姿は変貌するが、変わらない本質的なものを感じてほしい」と語る。

 福本は名古屋芸術大卒。花鳥をモチーフに鮮やかな色彩で日本画の魅力を現代的に表現し、日展や日春展などで入選を重ねる。東京や香川で個展を精力的に開催しており、現在は同大非常勤講師。本展について「社会が不安定な時こそ芸術で感動を与えられたら」と思いを寄せる。


福本百恵「千鳥」


 今回紹介する約20点は、日展出品作など大型の日本画が中心。このうち「千鳥」はコロナ下で鑑賞者を元気づけようと、鮮やかな赤い花と自由を象徴する鳥を描写した。タブレットに群がるスズメを描くなど動物を人に例えた作風も見どころ。

 5、6、12、19、20日は作家が作品解説を行う。入場無料。問い合わせは香川県立ミュージアム、電話087-822-0247。

(四国新聞・2022/02/03掲載)



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