春とは名ばかり、まだまだ風の冷たい2月。でも「一足早く、菜の花が満開になっているよ」との情報を得て、さぬきこどもの国(香川県高松市香南町)へ出向くと、そこには、教えてくれたとおりに暖かい春を思わせる黄色いじゅうたんが広がっていた。


着陸した飛行機に手を振る親子連れ

着陸した飛行機に手を振る親子連れ


 今見頃を迎えているのは、高松空港の滑走路に面した東ウイングの斜面。幅約6~20メートルの黄色い帯が、およそ250メートルにわたって広がっている。近くにはまだ3、4分咲きという場所もあるが、ここだけはもう春たけなわのような風情だ。

 同園では訪れる人に季節を感じてもらおうと、1995年の開園当初から東西のウイング合わせて約2万平方メートルに、春は菜の花とポピー、夏はヒマワリ、秋はコスモスなどを栽培している。尾崎享園長によると、昨年は10~11月の菜の花の種まき時期にちょうど気温が高く、雨も適当な間隔で降ったため、年末には花が開き始めたそう。満開も、東ウイングエリアでは平年よりやや早かったという。

 取材した日は気温6度ほどと冷え込んだが、時折日が差すと、黄色いじゅうたんが波打つように輝く。飛行機の発着もすぐそこに見え、親子連れが機体に向かって手を振っている。花と飛行機を一枚の写真に収めたい写真愛好家らは、アングルを見定めるのに余念がない。

 子どもたちは花より、かつて活躍したYS―11型航空機の実物展示や、コンビネーション遊具に夢中だが、青空と花をバックに、よちよち歩きの子をスマホで撮ろうと奮闘するパパの姿もあった。


子どもたちでにぎわうサイクル広場。マウンテンバイクルート、サイクルルートともに、ここにあるサイクルセンターが発着点となる(有料)

子どもたちでにぎわうサイクル広場。マウンテンバイクルート、サイクルルートともに、ここにあるサイクルセンターが発着点となる(有料)


 「もう少し暖かくなってくると、西ウイングの方も開いてきますよ」と尾崎園長。西ウイングは、マウンテンバイクルートの中や、園をぐるりと1周するサイクルルートに添って植えているので、レンタル自転車に乗って春風と花の風景を楽しむのもよさそうだ。

 晩春になり、菜の花が終わりかけると、ポピーが菜の花の間から立ち上がってきて、赤や白の花を咲かせる―という仕掛けも。地面を碁盤状に区分けして、互い違いに種をまくのがこつだそう。「園内があまりに広いので、水やりなどの管理ができません。基本的には天候任せ、人間は少し手伝う程度」というが、工夫と手間を掛けているからこその美しさだ。

 同館は26日まで、リニューアルのため児童館が1階のみのオープンとなっている。外の遊具やサイクルセンターは利用できるので、春の気配を味わいつつ親子で外遊びを楽しみたい。

(四国新聞・2022/02/12掲載)


さぬきこどもの国



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