後継者の育成などに取り組む香川県漆芸研究所(古川京司所長)の2021年度修了作品展「漆研展」が、香川県高松市番町の県文化会館で開かれている。修了生が伝統技法を用いてみずみずしい感性で表現した意欲作が並び、来場者の興味を誘っている。観覧無料。13日まで。


担当者(右端)から出品作についての説明を聞く来場者=香川県高松市番町、香川県文化会館

担当者(右端)から出品作についての説明を聞く来場者=香川県高松市番町、香川県文化会館


 漆研展は、3年間の課程を終える修了生の実習成果を発表する場として毎年開催。今回は修了生2人と、1、2年生15人、研究員6人による小箱や盛り器、丸盆など過去の作品も合わせて119点を展示している。

 修了生のうち、大浦綾翼(りょうすけ)さん(29)=高松市出身=は、漆を130回塗り重ねた堆漆(ついしつ)と彫漆(ちょうしつ)の技法を組み合わせたランプシェードを出品。将来への期待を込めて「希望」「情熱」などの花言葉を持つ四季の花を透かし彫りした作品で、全体は黒漆で覆い、中からにじみ出る光の美しさがより際立つよう工夫を凝らしている。

 小西由紀さん(36)=滋賀県出身=の「蒟醤片身替手箱(きんまかたみがわりてばこ)『軌跡』」は、宇宙を感じさせる「曜変天目(ようへんてんもく)」の模様と、草花のユキヤナギを左右半分ずつにあしらっており、幻想的な意匠が注目を集めていた。

 このほか、1年生がデザインした漆研展のポスター案や、2年生による竹ひごを編んで素地を作る藍胎(らんたい)の実習成果なども紹介している。

(四国新聞・2022/03/08掲載)

漆研展


開催場所 香川県文化会館 県民ギャラリー
高松市番町1-10-39
開催期間 2022/3/5~2022/3/13
開催時間 9:00~17:00(最終日は~15:00)
TEL 087-831-1814

漆研展



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