待ちに待った春。外で元気に遊びたい子どもたちも、密を避けつつ穏やかに季節の移り変わりを感じたい人も、峰山公園(香川県高松市峰山町)ならそれぞれのペースで楽しめる。好天に誘われ、石清尾山塊に広がる広大な公園を訪ねた。


展望台からは高松市街はもちろん、男木島や直島など瀬戸内の島々も手に取るように見える

展望台からは高松市街はもちろん、男木島や直島など瀬戸内の島々も手に取るように見える


 園内は大きく分けて、中央の芝生広場などを含む丸山地区、アスレチックコースやキャンプ場などを擁する西石清尾地区、花木園や桜並木などがある東石清尾地区がある。芝生広場すぐの第1駐車場に車を止め、のんびりと西石清尾地区に向けて歩いて行くと、民家のすぐ軒先に径10メートルほどの盛り土があり、横穴式石室がぽっかり口を開けている。石清尾山2号墳だ。

 この周辺にはほかにも、全国でも珍しい形をした貴重な古墳があり、歴史ファンなら史跡巡りだけでもかなり楽しめそうだ。

 奥のはにわっ子広場には、大型遊具で遊ぶ子どもたちの姿が。遊具は石清尾古墳群にちなみ、埴輪(はにわ)の馬や兵士、銅鏡などをかたどった愛嬌(あいきょう)たっぷりの形をしている。中央の馬を通って長さ58メートルのローラースライダーが出ており、子どもたちが歓声を上げて次々滑っている。大人向けの健康遊具や、障害のある人にも優しい滑り台などもあり、幅広い世代が遊べるよう工夫されている。


はにわっ子広場には馬形埴輪や銅鏡など古墳をモチーフにした遊具がたくさん

はにわっ子広場には馬形埴輪や銅鏡など古墳をモチーフにした遊具がたくさん


 静かに楽しみたい人はさらに奥へ。本格的なアスレチック遊具が24基もあり、円盤渡りや大壁のぼりなど、難易度もさまざまだ。さらに少々上ると、ついに展望台に到着! 東の屋島、西の五色台まで、高松市街がまさに手に取るように見渡せる。サンポート高松の沖には赤い船が浮かび、遠く大島や小豆島も。いつもの街がミニチュアのように見えるのが楽しく、時間が過ぎるのも忘れてあちこち眺めた。

 帰り際、ふと梅園を見つけて立ち寄った。訪れた日はちょうど紅梅が美しく、メジロやジョウビタキなどの野鳥が枝から枝へ渡るのも愛らしい。どこかからウグイスのさえずりが聞こえ、春本番の趣だ。

 桜の季節には、この梅園周辺やはにわっ子広場など、園全体で約800本が咲き誇る。街中からこんなに近いのに、里山の自然がたっぷり味わえる、まさに市民の憩いの広場だ。

(四国新聞・2022/03/12掲載)


高松市峰山公園



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