琴平町出身の和田邦坊(1899~1992年)の風刺画で、教科書などで知られるお札を燃やす成金男の立体造形作品が、香川県善通寺市大麻町の灸まん美術館にお目見えした。ツイッターで話題になった作品の寄贈を受けたもので、ボタンを押すと炎のようにライトが光る仕組み。絵で見たままのどこか憎めない表情で、来館者を楽しませている。


ボタンを押すと、炎に見立てた照明が光る成金男の立体作品=香川県善通寺市大麻町、灸まん美術館

ボタンを押すと、炎に見立てた照明が光る成金男の立体作品=香川県善通寺市大麻町、灸まん美術館


 風刺画「成金栄華時代」は、1928年刊行の「現代漫画大観第3編」(中央美術社)で扉絵に使われた作品。「暗くてお靴が分(わか)らないわ」と話す女性従業員に、笑顔の成金男が百円札を燃やしながら「どうだ明(あかる)くなったろう」と応じる場面だ。

 同館によると、教科書に登場するだけでなく、今も大学入試など試験問題に使われている。金持ちのアイコンとして、バラエティー番組で使われることもあり、若い世代にも広く知られている。

 作品は、県外在住の「osaka」さんが制作。石粉粘土で人物を立体化し、お札が燃えている部分を照明にした。昨秋ツイッターで紹介したところ、12万を超える「いいね」が付くほど注目を集めた。

 同館がブログで紹介しようと制作者に連絡を取ると、「もらってほしい」と寄贈を受けた。元の作品は、コンセントに差し込むと明かりがつく仕様だったが、同館が遊び心で照明ボタンを追加した。同館で開催中の企画展で展示している。

 西谷美紀学芸員は、邦坊の成金男の人気の理由を「お金を燃やすなんてとんでもないことだが、どこか憎めない表情の愛されキャラ。また、そのくらいお金持ちになりたいと皆どこかで思っているのかも」と指摘。作品については「邦坊もパロディーが大好きだから、喜んでいるのではないか」と話している。

(四国新聞・2022/03/20掲載)

灸まん美術館


所在地 香川県善通寺市大麻町338
開館時間
9:00~17:00
休館日 水曜・年末年始
TEL 0877-75-3000

灸まん美術館



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