画家や小説家などとマルチに活躍した琴平町出身の和田邦坊(1899~1992年)の作品などを紹介するコレクション展「味な世の中-和田邦坊の眼差し-」が、香川県善通寺市大麻町の灸まん美術館で開かれている。邦坊がデザインした椅子とテーブルのほか、俳人の詩文を入れた絵画などを紹介。初公開となる作品も含まれており、邦坊の生涯を通観できる内容となっている。2部制で、第1部は5月8日まで。


邦坊が多用した黒と赤の配色が目を引く椅子=香川県善通寺市大麻町、灸まん美術館

邦坊が多用した黒と赤の配色が目を引く椅子=香川県善通寺市大麻町、灸まん美術館


 会場には家具や絵画のほか、立体造形など初公開の22点を含めた60点を展示。このうち、1975年ごろに制作したテーブルと椅子は、高松市内の菓子店から内装のコーディネートを依頼された際にデザインしたもので、邦坊が多用した黒と赤の配色が目を引く。椅子は実際に座ることができ、邦坊のインテリアデザイナーとしての才能も肌で感じ取ることができる。

 また、名声や利益は必要ないという意味の漢詩「名利塵図(みょうりのちりず)」を記した絵画は、老夫婦が自然豊かな場所で暮らす風景を優しい色合いで表現。しのぎを削る東京での活躍を経て、そう考えるに至った邦坊の生きざまがうかがえる。


俳人の詩文を記した絵画が並ぶ展示会場=香川県善通寺市大麻町、灸まん美術館

俳人の詩文を記した絵画が並ぶ展示会場=香川県善通寺市大麻町、灸まん美術館


 このほか、邦坊が初代館長を務めた讃岐民芸館の開館(1965年)を記念して日本工芸館(大阪市)に寄せた原稿や、風刺画「成金栄華時代」に描かれている成金の立体造形も並ぶ。同館の西谷美紀学芸員は「邦坊の人生を見て触って体感してもらえれば」と話している。

 入館料は一般500円ほか。第2部は6月4日から。問い合わせは灸まん美術館、電話0877-75-3000。

(四国新聞・2022/03/24掲載)

味な世の中―和田邦坊の眼差し―


開催場所 灸まん美術館
香川県善通寺市大麻町338
会期 第1部2022/1/2~2022/5/8
題2部2022/6/4~2022/10/2
開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 火曜・水曜
入館料 一般500円ほか
TEL 0877-75-3000

灸まん美術館



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