香川県丸亀市浜町の市猪熊弦一郎現代美術館で、丸亀ゆかりの洋画家猪熊弦一郎(1902~93年)の生誕120周年記念の回顧展「美しいとは何か」が開かれている。約70年の画業を振り返りつつ、一貫して「美」の表現を追求した猪熊らしい作品34点を展示。猪熊がインタビューや講演会などで美について語ったメッセージを補足的に掲示したコーナーもあり、猪熊の考え方をより深く楽しむことができる。7月3日まで。


約70年に及ぶ猪熊の画業を振り返る回顧展=丸亀市浜町、市猪熊弦一郎現代美術館


 猪熊は高松市生まれ。東京、パリ、ニューヨークと活動の拠点を移しながら、画風も写実的なものから抽象的な作品へ移行、晩年には色と形がキャンバスの中で自由に遊ぶように描くスタイルを確立した。

 今回の回顧展は、猪熊が作品として生み出した多様な美と、猪熊の美への思いがテーマ。91年の同美術館の開館に向け、天井高が7メートルある展示室の大きなスペースを念頭に制作したという縦約4メートルのアクリル画「手の残した言葉」「宇宙都市休日」の2作品をはじめ、開館記念展のポスターにも採用された「楽しい家族」などを並べている。

 3階展示室では壁で仕切られた二つの空間で、一方には作品だけを間隔を空けて配置し、もう一方には猪熊のメッセージや作品解説などの文面を作品と一緒に展示。「画家は自分のすきなもの、愛しているものをよく絵にかくんです。愛しているところに美があるからなんです」など猪熊の言葉を学芸員が作品に合わせて選んだという。

 担当する古野華奈子学芸員は「猪熊はこの美術館を心の病院にしたいと話していた。メッセージと照らし合わせながら新しい楽しみ方を見つけてもらえれば」と話している。

 開館時間は10:00~18:00。月曜休館(5月2日は開館)。所定の入館料が必要。問い合わせは丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、電話0877-24-7755。

(四国新聞・2022/04/04掲載)


丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館


所在地 香川県丸亀市浜町80-1
開館時間 10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日 月曜日(5月2日は開館)
TEL 0877-24-7755


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