壺井栄の愛、一針にあふれ 二十四の瞳映画村 幼児用手編みケープ展示 雑誌編集者長女が寄贈
香川県小豆島町田浦の二十四の瞳映画村内にある壺井栄文学館(大石雅章館長)で、栄が手編みした幼児用のケープ(袖のない肩掛け)が展示されるようになった。来館した家族連れらは、優しい色合いや、ほつれが出ないよう丁寧に編み上げた様子をじっくり観賞し、栄の子どもに向けた愛情の深さについて思いを巡らせている。
ケープは、栄が1930年代後半に書き上げた小説「大根の葉」を掲載した雑誌「文藝(ぶんげい)」の編集責任者だった高杉一郎氏(本名・小川五郎、1909~2008年)の長女・田中泰子さん(83)=京都市在住=に贈ったもの。高杉氏の著述によると、田中さんが1歳の頃に栄が手編みして都内の自宅に届けたという。
田中さんは「栄さんにはワンピースなども編んでもらったが、自宅にケープだけが残っていた。多くの人に栄さんの優しい人柄を知ってもらえたら」と3月上旬、同館へ寄贈を申し入れ。同館は好意に感謝し、4月から展示品に加えた。
ケープは縦約20センチ、横幅約35センチ。象牙色を基調に薄い青色のラインが入っている。
家族5人で同館を訪れた高松市の主婦、安岡さんは「編み目を見るだけで壺井栄さんの子どもに注ぐ愛情の深さが伝わってくる。見られてよかった」と話していた。
壺井栄文学館の入場は無料だが、映画村の入村料として中学生以上890円、小学生450円が必要。問い合わせは壺井栄文学館〈0879-82-5624〉(無休、開館時間は午前9時~午後5時)。
(四国新聞・2022/05/02掲載)
壺井栄文学館
所在地 | 香川県小豆郡小豆島町田浦甲936 二十四の瞳映画村内 |
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開館時間 | 9:00~17:00 |
休館日 | なし |
TEL | 0879-82-5624 |