四国最古のオペラ復活へ 瀬戸芸参加作品 香川大生ら15日、四国村で上演
香川大学のプロジェクトチームによる四国の民話を題材にしたオペラ「二人( ふたり )奥方」が15日、四国村(香川県高松市屋島中町)にある農村歌舞伎舞台で上演される。1965年の初演以来、一度も再演されていない「四国最古のオペラ」の“復活”に向けた取り組み。本番を前に同チームは4月下旬、高松市で行った練習を公開し、艶やかな平安装束を身にまとったプロの歌い手が、香川大生ら11人の演奏に合わせて高らかな歌声を響かせた。
瀬戸内国際芸術祭2022の参加作品の一つ。音楽を通して地域の伝統文化の価値を見いだし、次代に伝えるのが目的。同大教育学部の若井健司教授が「瀬戸内の伝統生活文化・芸術発信プロジェクト」と銘打ち、芸術監督・演出を手掛けた。
オペラ「二人奥方」は、県内の音楽家らで結成する「香川二期会」が四国の民話を基礎に新たな音楽芸術を発信しようと約60年前に制作。19年前にその存在を知った若井教授が子どもにも分かりやすい舞台構成に仕上げ、同学部の岡田知也教授が編曲を手掛けた。
民話の舞台は平安時代の四国の山中。主催者によると、「なぜ四国にキツネがいないのか?」という疑問を題材にした作品で、キツネが殿様の妻に化けて「奥方が二人」になったところから展開する。奥方役を務める国方里佳と佐治名津子をはじめ、県内で活躍する声楽家が舞台を彩る。アンサンブルや助演、舞台美術は同大の学生と教員らが担い、屋島中学校の合唱部9人も劇中に登場。プロとアマチュアが一体になった壮大な公演となる。
4月28日に同市幸町の香川大学で行った練習では、主要キャストが本番と同じ衣装に身を包み、演奏に合わせてせりふや一連の流れを確認。若井教授は「四国で生まれたコミカルさと切なさを併せ持つオペラを通じ、地域の魅力を再認識してもらえれば」と来場を呼び掛けている。
公演は2部構成。第1部は、「石切り唄保存会」など県内の8団体が労働の場で生まれた7曲を披露する「瀬戸内仕事歌」。第2部がオペラ「二人奥方」となる。
開演は午後3時と午後6時。入場料は一般3千円(前売り2500円)ほか。問い合わせは香川大学地域連携推進課、電話087-832-1370。
(四国新聞・2022/05/12掲載)