香川県仲多度郡琴平町と青森県弘前市が3年連続で中止となった「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の代替イベントとして企画した「四国金毘羅ねぷた祭り」が27日、同町で開幕した。巨大ねぷたの展示や囃子(はやし)の生演奏、ねぷた絵師による制作実演など多彩なイベントに大勢が詰めかけ、まちは久々の祭りムードに包まれた。28日まで。


太鼓や笛の演奏を披露する弘前市七夕会のメンバー=香川県仲多度郡琴平町、ことひら温泉琴参閣

太鼓や笛の演奏を披露する弘前市七夕会のメンバー=香川県仲多度郡琴平町、ことひら温泉琴参閣


 練り歩きの発着点となる「ことひら温泉琴参閣」の駐車場では、前日に弘前から到着した高さ約8メートルの扇形のねぷたを展示。四国こんぴら歌舞伎大芝居や演目の「義賢(よしかた)最期」を題材にした色鮮やかな絵に、来場者はカメラやスマートフォンを向けた。「巨大ねぷたを楽しみに来た」という県外の人もいた。

 ねぷたを前に、同市職員でつくる「弘前市七夕会」のメンバー9人が、練り歩きの際の囃子をにぎやかに披露。太鼓と鉦(かね)、笛で、「行進」「戻り」「休み」の3種類の囃子を演奏してみせると、観客から惜しみない拍手が送られた。また、津軽三味線のライブ演奏や弘前の特産品販売も行われた。


ダイナミックにねぷた絵を仕上げていく三浦さん=香川県仲多度郡琴平町、ACTことひら

ダイナミックにねぷた絵を仕上げていく三浦さん=香川県仲多度郡琴平町、ACTことひら


 町立ギャラリー・ACTことひらでは、巨大ねぷたの絵も手がけた同市の絵師三浦呑龍(どんりゅう)さん(69)が、縦約4メートル、横約5メートルの絵の制作を実演。鉛筆での下書きを元に、ダイナミックかつ繊細に墨で髪やひげなどを描いていった。28日には専用の染料で色塗りを行い、絵を完成させる。

 弘前にねぷたを見に行ったことがあるという同町の三俣貴美子さん(59)は「墨だけでもすごい迫力。これに色が付いて電気で照らされると想像したら、また本場に行きたくなる」と話していた。

 囃子演奏などのイベントは28日も行う。午後7時からは町内中心部で巨大ねぷたや琴平高生らの作ったねぷたが練り歩き、弘前市七夕会や尽誠学園高太鼓部が囃子で盛り上げる。周辺の駐車場には限りがあり、町は公共交通機関での来場を呼びかけている。

(四国新聞・2022/05/28掲載)


四国金毘羅ねぷた祭り

ことひら温泉琴参閣


ACTことひら



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