香川県丸亀市の映画監督、梅木佳子さん(51)が監督と脚本を務めた映画「虹色はちみつ」が完成した。家族のつながりをテーマにした約30分の短編作品で、ほぼ全編を琴平町内で撮影。人と人との温かな触れ合いが、門前町の風情ある町並みと共に描き出されている。7月以降、同町などで公開される。


「虹色はちみつ」の一場面。主人公を演じる辻さん(右)と鈴木さん

「虹色はちみつ」の一場面。主人公を演じる辻さん(右)と鈴木さん


 梅木さんは2015年、さぬき映画祭で上映した「W&M」で初監督。2作目の「Lemon&Letter」、3作目の「はちみつレモネード」は、いずれも国内外の映画祭でグランプリなどを相次ぎ受賞した。

 4作目となる「虹色はちみつ」は、うどん屋を営む優しい両親に育てられた女子高校生が主人公。過去の自分と似た境遇の少女と出会い、家族とは何かを考える物語となっている。

 制作のきっかけは18年、善通寺市から東京・目黒に転居した女児の虐待死事件だった。子育てを経験している梅木さんは、児童養護施設や児童相談所などに取材を重ね、子どもが救われるような、希望の持てる話を書きたかったという。

 タイトルは、ミツバチが花の蜜の代わりに菓子工場の廃棄物を集め、青や緑色のハチミツになったとのニュースから着想。家族も、環境次第でどんな色にもなり得るとの思いを込めた。

 ロケは昨年7月、金刀比羅宮や表参道などで実施。金陵の郷では町民ら約90人がエキストラで参加し、夏祭りの場面を撮影した。

 スタッフの大半は前作の縁からで、主人公の女子高校生役は、前作でも主演を務めた辻千恵さん(28)。子役には、CMなどで活躍している鈴木咲さん(7)。音楽は、いずれも高松市出身のアーティスト、岡田春菜さんや舞子さんらが担当した。

 梅木さんは「家族の大切さや心の触れ合いを味わってもらうとともに、見てくれた人が、自分も誰かの助け舟になれると思ってもらえたら」と話している。

 初の上映会は7月23日、琴平町民向けに町文化会館で行われる。一般向けには8月14日、丸亀市のアイレックス大ホールで開くほか、11月には東京でも予定している。料金は町民500円、一般大人千円など。問い合わせはメール〈keikorin33@gmail.com〉。

(四国新聞・2022/06/08掲載)


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