「人の生死」 空間で表現 元教諭と教え子の作品融合 高松
年齢差が30歳以上ある現代アート作家の2人展「これから起きること」が、香川県高松市花園町のKinco.hostel+cafeで開かれている。各自が取り組む人間の「生死」を表現した作品を持ち込み、展示エリアを分けずにインスタレーションとして融合させた実験的な試み。2人の化学反応によって来場者の想像力を刺激する空間が広がっている。6月19日まで。
2人は元高松工芸高校教諭の平野年紀(64)と教え子で同校教諭の樋口聡(33)。昨夏、県内の同じグループ展に出品したことをきっかけに意気投合し、2人展を企画した。タイトルの「これから起きること」には今展への期待や、新型コロナウイルス禍などによる先行きの不安感を込めたという。
会場にはベッドに横たわる人の立体造形や、うつろな表情をした顔の絵、人の生涯を示唆するような映像が混在。作品の多くがセンサーに反応して動き、光や音を出す仕組みになっており、会場に足を踏み入れると必然的に自分の存在を意識させられる。通覧することで来場者も作品空間の一部に取り込まれたような感覚に陥りそうになる。
樋口は「難解に思えるかもしれないが、作品に対する自分なりの解釈を見つけてもらえたら」と話している。
入場無料。問い合わせは樋口、電話080-1992-2962。
(四国新聞・2022/06/09掲載)