美術団体「創元会」(小川尊一理事長)の公募展の秀作を紹介する「第81回創元展香川巡回展」が14日、香川県高松市紺屋町の高松市美術館で始まった。会場には写実から抽象まで個性豊かな絵画の大作がずらりと並び、美術ファンらを引きつけている。19日まで。


個性豊かな大作に見入る美術ファンら=高松市紺屋町、市美術館


 同会は、日展の前身の文展で活躍した洋画家11人によって1940年に設立。翌年から公募展を年1回開催している。今年の展覧会は4月に東京都で開かれた後、福岡県や静岡県など全国6会場を巡回予定で、香川は3カ所目となる。

 香川巡回展には、東京本展からの選抜作品73点と同会香川支部(六車るみ子支部長)のメンバーらによる18点を展示。このうち、会員賞を受賞した同支部の村上芳美さん(高松市)による「船台」は、岡山県の造船場で見た船を運ぶ滑車が題材で、赤や緑色で鮮やかに再現した表面の鉄のさびが際立っている。

 同支部会員で、昨年に県美術展覧会の洋画部門で知事賞を受賞した西村静美さん(琴平町)による全国巡回作品「覚えず」は、座っているように見える若い女性の周囲にアンモナイトが大胆に描かれ、抽象的な世界観を柔らかいタッチで表現している。

 このほか、イタリア・シチリアの町並みや屋島のケーブルカー、使い古された船などを描いた作品が会場を華やかに彩っている。六車支部長は「100号以上の作品がほとんど。若い人にこそ生で迫力を体感してほしい」と来場を呼びかけた。

(四国新聞・2022/06/15掲載)



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