「日本植物学の父」として知られる高知県佐川町出身の植物学者、牧野富太郎(1862~1957年)の生誕160年記念展が、香川県仲多度郡琴平町の町立ギャラリー・ACTことひらで開かれている。牧野に関する書籍や植物画集、書簡、香川との接点を示す資料など約220点を展示、足跡を紹介すると共に人柄をしのばせる内容となっている。7月9日まで。


牧野富太郎の書籍や図鑑に見入る来場者=琴平町、ACTことひら


 牧野はほぼ独学で植物の研究を始め、生涯に約40万点の標本を採集、1500種類以上の植物に名前を付けた。来年、牧野をモデルにテレビドラマ化されることが決まっている。

 記念展は町文化協会(門脇俊文会長)が企画。展示資料の大半は、東かがわ市在住の多田昭さん(83)が約60年かけて収集した物で、牧野が手がけた植物図鑑や弟子に宛てた自筆の手紙、30種類近くある牧野の伝記などがずらりと並ぶ。牧野がスケッチした植物画はアート作品のような精緻さで、来場者の目を引いている。

 香川との縁を紹介するコーナーでは、三木町出身の植物学者三木茂との交流を示すはがき(コピー)などの資料のほか、海岸寺(多度津町)に建つ、牧野の妻の言葉を記した石碑の拓本を展示。自分は牧野の使命を助けるために神に遣わされたとの内容で、研究中心の生活だった牧野と、それを支えるために奔走した妻の関係をしのばせる。


北添さんが制作した牧野富太郎の全身像


 牧野をモデルにした彫刻3点もあり、いずれも牧野と同郷の彫刻家北添繁幸さん(74)=丸亀市在住=が制作。今回の記念展のために制作した全身像は、恋人に会いに行くかのように、ちょうネクタイ姿で植物採集に出かけていた朗らかな姿を表現している。

 26日午後1時半からは、多田さんと「香川植物の会」の五所野尾優さんとのギャラリートークを予定。問い合わせは琴平町立ギャラリー・ACTことひら、電話0877-73-2655。

(四国新聞・2022/06/25掲載)

ACTことひら


所在地 香川県仲多度郡琴平町176番地
開館時間 9:00~17:30
休館日 水曜日・年末年始(12月29日~1月3日)
入館料 無料
TEL 0877-73-2655


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