東日本大震災の津波の流木や倒壊家屋の木材で作られたバイオリンによるチャリティーコンサート「TSUNAMI(ツナミ)ヴァイオリンの旋律と祈り」が2日、香川県観音寺市観音寺町のハイスタッフホール小ホールで開かれる。演奏するのは、国際的に活躍するバイオニリストのeRika(エリカ)さん=京都市出身=。「石組みの壁面に映し出された光の筋を見て、思わずTSUNAMIバイオリンの舞台だと直感した」という同ホールで、鎮魂の祈りや生きる喜びを表現する。


観音寺市でTSUNAMIバイオリンのコンサートを開くeRikaさん

観音寺市でTSUNAMIバイオリンのコンサートを開くeRikaさん


 TSUNAMIバイオリンは、ストラディバリウスなどの名器の修復で知られる弦楽器制作家の中沢宗幸さん=長野県在住=が手がけた。バイオリンの表板と裏板をつなぐ「魂柱」には、津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」の芯の枝の部分を使っている。

 eRikaさんはパリで活動していた2011年、東日本震災の津波の映像を見て衝撃を受け、「私に何ができるのだろう」と自問自答を続けた。知人の紹介で中沢さんと出会ってその人柄に触れ、著書「いのちのヴァイオリン」を読んで強く感動。「TSUNAMIバイオリンの演奏活動をライフワークにできたら」と心に決めた。

 俳優の下條アトムさんによる、中沢さんがTSUNAMIバイオリンを作った経緯の語りと共に、これまでにチャリティーコンサートを京都市などで開催。20年春以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響で休止しており、観音寺が再開最初の公演となる。当日はクラシック曲16曲を演奏予定で、今回は語りもeRikaさんが担当する。

 eRikaさんはコンサートを前に「TSUNAMIバイオリンは、上皇后美智子さまがおっしゃったように、災害の多い日本で、あらゆる人の悲しみを解き放ち、生きる喜びを与えるバイオリンとして未来永劫(えいごう)受け継がれるものと信じている」と話し、「観音寺で皆さんにぜひその音色をお届けしたい」と意気込んでいる。

 午後2時開演。入場料は一般3千円、小学生1500円。収益金の一部を寄付し、復興支援に役立てる。チケット販売、問い合わせは同ホール〈0875-23-3939〉。

(四国新聞・2022/07/01掲載)


コンサート詳細(ハイスタッフホール)



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