瀬戸内国際芸術祭2022の夏会期(8月5日~9月4日)開催を前に、美しい夕景のスポットとして知られる香川県小豆郡土庄町屋形崎の「屋形崎夕陽(ゆうひ)の丘」に、命をテーマにした巨大な卵形の瀬戸芸作品「はじまりの刻(とき)」が設置された。表面には草が芽吹き、青い海を背景にして陽光に輝く様子に、地元住民らは「地域の新たな目玉ができた。観光などの活性化につなげたい」とオブジェの完成を喜んでいる。


造形作家の三宅さん(右端)と一緒に瀬戸芸作品「はじまりの刻」を設置する地元住民ら=香川県小豆郡土庄町屋形崎

造形作家の三宅さん(右端)と一緒に瀬戸芸作品「はじまりの刻」を設置する地元住民ら=香川県小豆郡土庄町屋形崎


 作品は兵庫県三田市の造形作家、三宅之功さん(46)が制作。悠久の歴史を感じさせる小豆島の豊かな自然から着想した「命」のイメージを、クリーム色などの陶器の破片をジグソーパズルのように組み上げて高さ3・7メートル、横幅2・4メートルの卵形にし、接合部分には土を入れ、草花の種子を植え付けて仕上げた。

 2日に兵庫県からフェリーで搬入して重機でコンクリートの台座に設置。3日、三宅さんと地元自治会、こえび隊、同町の職員ら計約30人が協力し、設置した部分が周辺の景色になじむように土を入れたり、芝生を植えたりした。

 青い海を見下ろす高台に巨大な卵が立つ姿は壮観で、周囲の木々や芝生の緑とも絶妙にマッチしている。三宅さんは「時間ごとに輝き方が違うのが面白い。中でも夕暮れ時の静寂の中で見ることをお勧めしたい」と強調。屋形崎自治会の平間英雄会長(68)は、地元団体と一緒に進めてきた段々畑の再生や木製ブランコの設営などの活動を振り返りながら「地元を盛り上げようという気持ちを奮い立たせてくれる作品」と笑顔で話していた。

(四国新聞・2022/07/05掲載)



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