視覚障害の女性と聴覚障害がある男性のひと夏の恋を描いた映画「夏の光、夏の音」(八十川勝監督)が、29日から香川県高松市亀井町のホールソレイユで公開される。主題歌、挿入歌は高松市出身のシンガー・ソングライター「コノハコトノハ」さんが担当。7月中旬、八十川監督が高松市中野町の四国新聞社を訪れ、作品の見どころやコノハさんの音楽について語った。


「ありのままの日常を伝えたい」と語る八十川監督=香川県高松市中野町、四国新聞社

「ありのままの日常を伝えたい」と語る八十川監督=香川県高松市中野町、四国新聞社


 八十川監督は、兵庫県在住の52歳。大学の非常勤講師などを経て、映画製作団体「垂水映画劇団」を立ち上げた。聴覚障害者にスポットを当てた短編映画「歌声を聴いてほしくて」(2016年製作)は、インドの国際映画祭で最優秀作品賞を受賞。第70回カンヌ国際映画祭などでも上映された。
 今回の「夏の光、夏の音」は、全盲の女性・麻衣が働く喫茶店に、ろう者の男性・健太郎が来店し、二人が出会ったことから物語が展開。健太郎がコミュニケーションをとるために点字を覚えたり、スマートフォンの文字起こし機能を活用したりして、さまざまな「壁」を乗り越えながら男女の距離は縮まっていく-といったストーリー。
 映画の製作にあたって八十川監督は、同じ障害がある人への取材を何度も重ねたという。「苦悩や才能を描くのではなく、ありのままの日常を伝えたかった。先入観なく見てほしい」。作品の根底には、八十川監督の主義主張がうかがえる。
 その日常にぴったりだったのがコノハさんの歌。等身大の歌詞や弾むようなメロディーに魅了され、主題歌に加えて挿入歌も依頼したという。「歌に対して気負わず、自然体なのが魅力」と八十川監督。挿入歌「新しい夏」では、ピアノの弾き語りによる爽やかなサウンドで主人公らの前向きな姿勢を支えている。
 作品は8月4日まで上映予定。110分。全て字幕付き。7月30、31日には八十川監督とコノハさんの舞台あいさつも。8月4日は音声ガイドがある。

(四国新聞・2022/07/28掲載)


ホールソレイユ



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