国の重要無形民俗文化財「滝宮の念仏踊」が25日、香川県綾歌郡綾川町滝宮の滝宮天満宮と滝宮神社で奉納される。新型コロナウイルス拡大の影響で昨年、一昨年は中止となっており、実施は3年ぶり。今秋の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録審査に向け、踊り組メンバーも「弾みになれば」と意気込んでいる。


25日の“本番”を前に、地域の神社で念仏踊を奉納する山田上組のメンバー=香川県綾歌郡綾川町山田上、耳飛神社

25日の“本番”を前に、地域の神社で念仏踊を奉納する山田上組のメンバー=香川県綾歌郡綾川町山田上、耳飛神社


 雨乞い神事として受け継がれる「滝宮の念仏踊」は、888年の大干ばつの際に讃岐国司だった菅原道真が祈りをささげたところ雨が降り、喜んだ農民たちが踊ったことが起源とされている。政府はまんのう町の綾子踊(あやこおどり)などとともに、全国各地に伝わる「風流踊(ふりゅうおどり)」の一つとして昨年3月、ユネスコへ無形文化遺産の申請書を提出した。
 昨年、一昨年は新型コロナの影響で中止したが、今年は行動制限がすべて解除されており、7月7日に同踊保存会の代表者会で協議し、実施することになった。今年の踊り組を担当する3組の一つ、山田上組の佐々木昇代表(72)は「当番の年と決まっていただけに実施されるか不安もあったが、ぜひやらなければと思っていた。本番を前にメンバーの士気も高まっている」と話す。
 同組ではメンバー約20人が同17日から山田公民館での練習を重ね、8月11日には組独自で毎年、山田上地区内の2神社で踊りを奉納する「村踊り」も済ませた。「念仏踊は五穀豊穣(ほうじょう)とともに、地域の平穏を祈るもの。新型コロナの収束をしっかりと願い、本番に臨みたい」と意欲を語った。
 25日は午前9時から滝宮神社、同10時から滝宮天満宮で念仏踊を奉納する。保存会事務局を務める町教委は、「消毒など、コロナ対策をしっかりと講じて実施したい。発熱などの異常があれば来場しないなど、見学にも配慮をお願いしたい」と呼びかけている。

(四国新聞・2022/08/16掲載)

滝宮天満宮


滝宮天満宮

滝宮天満宮

滝宮神社


滝宮神社

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