伝統工芸融合で新世界 「讃岐漆芸」「かがり手まり」コラボ展 県文化会館で来月4日まで
讃岐漆芸と香川県の伝統的工芸品「讃岐かがり手まり」をコラボレーションした異色ともいえる展覧会が、高松市番町の県文化会館で開かれている。素材も技法も全く異なる二つの伝統工芸品計84点を融合させることで、互いの美しさを際立たせる新たな取り組みに注目が集まっている。9月4日まで。
讃岐かがり手まりは、米のもみ殻を薄い和紙で包んだ芯に、木綿糸を巻き付けるかがりの技法によって幾何学的な模様を作り出す伝統工芸。江戸時代から続く讃岐漆芸3技法の彫漆(ちょうしつ)、存清(ぞんせい)、蒟醤(きんま)と手まりの制作手法は親和性が高いとみた県漆芸研究所が、二つをセットにすることで互いの魅力をより伝えようと、同市の讃岐かがり手まり保存会(荒木永子代表)に合同展示を呼びかけた。
今展は、重要無形文化財保持者(人間国宝)に指定された作家らと、同研究所の研究生による作品を二つのコーナーに分け、色鮮やかな手まりと組み合わせて展開した。
人間国宝の音丸耕堂(1898~1997年)や磯井正美さん(96)ら9人による作品が並ぶコーナーでは、彫漆の技法を使ってエンレイソウをあしらった菓子器や、蒟醤を用いた繊細な文様の盛器など巨匠の技が光る12点を展示。そこに赤、灰、黒色の無地の手まりを宙づりにして融合させ、宇宙を感じさせるような空間に仕上げている。
同研究所研究生の修了作品が並ぶコーナーは、作品を暖色系と寒色系に分け、色や模様に合わせて手まりを配置。茶箱の中や高坏(たかつき)の上に仕込んだ作品もあり、二つを同時に展示することで新たな魅力を発見できる工夫を施している。同保存会の荒木代表は「伝統工芸に新しい風が吹いたような世界観をぜひ会場で体感してほしい」と話した。
入場無料。問い合わせは同研究所、電話087-831-1814。
(四国新聞・2022/08/26掲載)