旧暦8月1日(今年は8月27日)の「八朔(はっさく)」の日にだんごで作った馬を飾り、男児の健やかな成長を願う中西讃の風習「八朔だんご馬」の制作実演が27日、香川県丸亀市一番丁の丸亀城大手門広場であった。天まで駆け上がりそうな勢いで両前脚を力強く掲げただんご馬の仕上げの作業が披露され、来城者が興味深そうに見守った。


「八朔だんご馬」の制作実演で岡さん夫妻の作業を見守る家族連れら=香川県丸亀市一番丁、丸亀城

「八朔だんご馬」の制作実演で岡さん夫妻の作業を見守る家族連れら=香川県丸亀市一番丁、丸亀城


 市観光協会によると、八朔だんご馬は江戸初期に馬術の名人として活躍した生駒家の家臣、曲垣平九郎にあやかり始まった説などがある。現在ではだんご馬を飾る家はほとんど見られなくなっており、同協会が地元の祝いの文化を市民に知ってもらおうと、2000年から城内やJR丸亀駅で制作実演を行っている。
 今年も市内の菓子職人・岡雅久さん(71)、秀子さん(66)夫妻が担当。木と鉄筋で組み合わせて作った骨組みに米粉ともち米粉のだんご約30キロを肉付けして形作った馬を同広場に持ち込み、食紅で口やひづめなどを着色したり、色鮮やかな着物の生地や帯を胴体に巻き付けたりして仕上げた。
 城内での実演披露は2年ぶり。大勢の家族連れらが詰めかけ、雅久さんは「子どものためのものだから、やっぱり子どもの前で作業すると張り合いが出る。気持ち良かった」と笑みを浮かべていた。
 完成しただんご馬は風習通り、張り子の虎などと一緒に、31日午後4時まで城内にある市立資料館の1階ロビーに飾られる。

(四国新聞・2022/08/28掲載)



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