皇太子時代の昭和天皇が1914(大正3)年に栗林公園(高松市)で植樹された「お手植え松」が、今も健在であることが香川県の調査で明らかになった。落雷を受けて2005年に枯死したと思われていたが、別のマツだったことが判明。樹齢は約120年とみられ、同園は「歴史に思いをはせながら、立派な立ち姿をめでてほしい」と話している。



 お手植え松は、公園の北庭に並ぶクロマツの総称。昭和天皇や妃(きさき)の香淳皇后、英国・エリザベス女王の先々代国王に当たる皇太子時代のエドワード8世らが1914~25年にかけて来園した際に植樹した。長らく計6本が並んでいたが、北端の1本が落雷の影響で2005年に枯死。当時は昭和天皇のお手植え松とみられており、同園は「昭和天皇お手植松跡」の案内板を同年設置した。
 ところが19年に入り、マツの配置の再確認を求める声が県民から寄せられ、県が過去の資料を調べた結果、お手植え松の並び順に誤りがある可能性が浮上。大正期の写真集「讃岐写真帖」(1916年)や当時の栗林公園の案内図などを元に、6本のマツと植樹した人物を今年推定し直した。



 新たな推定によると、落雷で枯死したのは、1923(大正12)年に香淳皇后がお手植えされたマツ。昭和天皇のお手植え松は、北から数えて3本目だった。マツの並び順を取り違えた時期や理由は不明だが、67(昭和42)年に皇族が来園した際の日程表では、既に誤った順番になっていたという。
 同園は8月、正しい配置を示す案内板を取り付けた。

(四国新聞・2022/09/05掲載)



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