香川県立ミュージアム(香川県高松市玉藻町)で23日から秋の特別展「風景が物語る瀬戸内の力―自然・歴史・人の共鳴―」(同ミュージアム主催)が開かれるのを前に22日、同館で報道関係者向けの内覧会があった。会場には中世から現代まで約800年の間に、瀬戸内海沿岸の名所や人々の営みなどの情景を描いた絵巻、屏風(びょうぶ)絵、絵画など約120点が並び、作品を通して時代ごとの地域の魅力を伝えている。瀬戸内国際芸術祭2022の参加作品として開催。11月6日まで。


小豆島の寒霞渓を描いた屏風など瀬戸内の景色を描いた作品が並ぶ特別展=香川県高松市玉藻町、香川県立ミュージアム

小豆島の寒霞渓を描いた屏風など瀬戸内の景色を描いた作品が並ぶ特別展=香川県高松市玉藻町、香川県立ミュージアム


 特別展は、瀬戸芸を契機にアート作品と共に人々を引きつける瀬戸内の風景の魅力を歴史や民俗、美術、自然の多面的な視点から探ろうと企画。関西や中四国地方の博物館、美術館、個人などが所蔵する重要文化財などの作品を▽ユートピア(理想郷)▽自然▽生活▽名所▽近現代そして未来―の五つのテーマに分けて展示している。
 このうち、重要文化財「御衣木之縁起(みそぎのえんぎ)」(鎌倉~南北朝時代、志度寺蔵)は、本尊造立の縁起を絵画化したもの。近江の山深い谷にあった霊木が、琵琶湖や淀川を経て瀬戸内海に流され志度湾に漂着する様子が縮図で描かれ、中世の瀬戸内沿岸の景観が見て取れる。
 明治大正時代の文人画家、富岡鉄斎の「富士遠望・寒霞渓図」(1905年、京都国立近代美術館蔵)は、右隻に富士山、左隻に小豆島の寒霞渓を配した対の屏風で、切り立った山や岩で成す寒霞渓を遠景に見える瀬戸内海と対比させることで、壮大な雰囲気を醸し出している。
 窪美酉嘉子(ゆかこ)主任専門学芸員は「作品を通じて今まで見たことのない瀬戸内の風景に出合い、新たな魅力を再発見してもらいたい」と話している。

(四国新聞・2022/09/23掲載)


香川県立ミュージアム



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