「ひげが揺れるようにメラメラしてるね」「黒いほくろに見えるよ」。専用の望遠鏡で太陽を見る子どもたちのにぎやかな声がドームに響く。まんのう町中通の「まんのう天文台」が開いた天体観望会での一場面。毎週末に開いているこの観望会が親子連れらから人気を集めているという。宇宙の神秘に迫る取り組みはどんなものなのか。9月上旬に同天文台を訪ねた。

 同町役場から車で約50分。大川山(標高1042・9メートル)の山頂付近に整備した同天文台は周囲に人工の光が少ないため、星の観測に最適だ。もともと個人所有の天文台付き山荘だったが、町が子どもたちに美しい星空へ理解を深めてもらおうと2012年に購入し改装、14年にオープンした。来場者数は延べ5700人(8月時点)を超える。
 オープン当初から毎週末に開いている観望会は金、土曜が夜間、日曜は昼の時間が中心。その季節、時間ごとに現れる惑星や月、太陽、星雲・星団を観望する。
 訪れた9月10日の昼は町教委主催の子ども会の行事として、太陽の観望会が行われた。同天文台管理者の山地隆範さん(64)らと4階にある天体観測施設に上ると、ドーム式屋根と巨大な望遠鏡がお目見え。屋根は自動で開閉、回転する仕組みだ。


専用の望遠鏡で太陽を観察する子ども(左)と管理者の山地さん=まんのう町、まんのう天文台


 望遠鏡はコンピューター制御で星を自動追尾しながら観測できる口径30センチの反射式望遠鏡、13センチの屈折式望遠鏡、太陽観測専用の望遠鏡3台を設置。反射式望遠鏡は人の目の1837倍光を集めるため、暗くて遠い星団を見るのに適している。一方、屈折式望遠鏡は倍率が低いため、明るく面積が広い星団などを見る際に使用するという。
 この日は太陽の特殊な波長を透過する専用の望遠鏡を使用。あいにくの曇り空だったが、子どもたちは太陽が見えた瞬間、ここぞとばかりに望遠鏡をのぞき込んでいた。「普段肉眼で見る姿と違い、真っ赤に光っているプロミネンスや黒点の存在がはっきりと分かる」と山地さんが教えてくれた。天候などの理由で観望できない場合は、過去に撮影した土星や木星などの映像を公開しているという。
 観望会ではこのほか、星座早見工作セットの使用法を説明して季節ごとに見られる星座を紹介したり、同天文台で撮影した星団の写真を展示したりして、はるかかなた先に広がる星の輝きに思いをはせることができる。この秋は不思議な宇宙の世界に触れてみるのはいかがだろうか。


星座早見表を見て、9月に観測できる星座を学ぶ親子連れら


 12月から3月末までは積雪などにより臨時休館となるため、町のホームページで確認する必要がある。
 開館は金、土、日曜の午前10時から午後5時まで。天体観望会、施設見学は町のホームページ参照。天体観望会の申し込みは1週間前までにファクスでのみ受け付け。一般200円。問い合わせは水~日曜の午前10時から午後5時まで、電話・ファクス0877-89-0619。

(四国新聞・2022/09/24掲載)



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