瀬戸内国際芸術祭の秋会期に合わせ、現代美術家ヤノベケンジさんの立体作品「KOMAINU」(コマイヌ)2体が香川県仲多度郡琴平町の金刀比羅宮(琴陵泰裕宮司)にお目見えした。狛犬(こまいぬ)をモチーフに、疫病や国際紛争から世界を守る守護獣を表現。歴史ある神社とメタリックな現代アートの組み合わせが、参拝客らの注目を集めている。設置は瀬戸芸閉幕の11月6日まで。


作品を前に記念撮影をするヤノベさん(左から3人目)ら関係者=琴平町、金刀比羅宮

作品を前に記念撮影をするヤノベさん(左から3人目)ら関係者=琴平町、金刀比羅宮


 瀬戸芸を側面支援する「県内周遊事業」の一つで、ヤノベさんのパブリックアートを展示して観光客らをもてなすイベント「おいでまい祝祭2022」(同実行委主催)の一環。これまで高松中心に実施していたが、初めて琴平にエリアを拡大した。
 コマイヌは2体とも高さ約3・4メートル、幅約1・2メートル、奥行き約3・5メートルで、主に金属製。2019年に制作し、これまで比叡山延暦寺(大津市)や清水寺(京都市)などで公開したことがあったが、今回の展示に合わせてボディーやデザインを作り替えた。光るボディーや赤い目が印象的な作品となっている。本宮近くにある三穂津姫社の両脇に設置された。
 26日には同宮でレセプションがあり、ヤノベさんのほか琴陵宮司、片岡町長らが出席した。ヤノベさんは「瀬戸芸といえば島の印象が強いが、金刀比羅宮は海の神様であり、瀬戸芸の原点と言ってもいいくらいの場所」と強調。設置への感謝を示すとともに「より良い世界を芸術の力でつくっていけたら」と思いを語った。琴陵宮司は「(新型コロナウイルス禍などの)現状を打破してくれると願って設置を決めた」と話した。
 このほか同宮表書院の「虎の間」には、ヤノベさんが船乗り猫を題材にした「シップス・キャット」シリーズで、和紙作家の堀木エリ子さんと共作した猫型の行灯(あんどん)2体を展示。虎を描いた円山応挙のかわいらしい屏風(びょうぶ)絵と、現代アートの猫を見比べることができる。表書院は拝観料が必要。

(四国新聞・2022/09/30掲載)


おいでまい祝祭2022



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